皆様、こんにちは。レスター司法書士法人の日高憲一です。
「相続手続きが煩雑で、まとめて専門家に丸投げしたい。でも、いったい費用はいくらかかるのだろう」——このような不安をお持ちの方は、とても多くいらっしゃいます。
戸籍の収集、財産の調査、不動産の名義変更(相続登記)、金融機関での解約、場合によっては相続税の申告まで。相続手続きは種類が多く、平日に何度も役所や銀行へ足を運ばなければなりません。だからこそ「まるごとお任せしたい」と考えるのは自然なことです。
一方で、費用が不透明なまま依頼するのは不安なものです。「丸投げすると高くつくのでは」「個別に頼んだ方が安いのでは」と迷って、一歩を踏み出せない方もいらっしゃるでしょう。
本日は、相続手続きの丸投げ(おまかせ)にかかる費用の相場と内訳を中心に、個別依頼との費用比較、費用を抑えるコツ、そして専門家選びで注意すべきポイントまで、司法書士の立場から分かりやすく解説いたします。なお、料金や税額は制度改正やご事情により変わりますので、最終的な金額は個別のお見積りでご確認ください。
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相続手続きの「丸投げ(おまかせ)」とは?どこまで任せられるか
まず、相続手続きの「丸投げ」がどこまでを指すのかを整理しましょう。一般に「おまかせパック」「相続手続き代行」などと呼ばれ、相続に必要な一連の手続きをまとめて専門家が代行するサービスを指します。
丸投げ(おまかせ)で代行してもらえる主な手続きは、次のようなものです。
- 相続人の調査(戸籍・除籍謄本の収集、相続関係説明図の作成)
- 相続財産の調査(不動産・預貯金・有価証券などの一覧化)
- 遺産分割協議書の作成サポート
- 不動産の名義変更(相続登記)の申請
- 預貯金・有価証券の解約・名義変更の代行
ただし、注意したい点があります。「丸投げ」といっても、依頼者が何もしなくてよいわけではありません。相続人ご本人にしか押せない実印の押印、金融機関によっては本人確認、相続税の申告が必要な場合の判断などは、依頼者の関与が欠かせません。また、相続人同士が争っている場合の代理交渉は弁護士、相続税の申告は税理士の領域であり、司法書士がすべてを一人で行えるわけではない点にもご留意ください(当事務所では、必要に応じて税理士・弁護士と連携し、窓口を一つにしてお手続きを進めます)。
相続手続きの丸投げ費用の相場【遺産規模別】
もっとも気になる費用の話に入ります。まず押さえていただきたいのは、相続の費用は「専門家への報酬」と「実費(税金・証明書取得費など)」の合計で決まるということです。この2つを分けて考えると、見積書が格段に読みやすくなります。
おまかせパックの費用相場(遺産規模別の目安)
相続手続きをまとめて代行する「おまかせパック」の費用は、遺産の規模や手続きの範囲によって変動します。一般的な目安として、次のようなレンジで案内されることが多いです(あくまで一般的な相場であり、実際の金額は財産構成や不動産の数により異なります)。
- 遺産総額 〜2,000万円程度:おおむね15万〜30万円前後
- 遺産総額 2,000万〜5,000万円程度:おおむね25万〜50万円前後
- 遺産総額 5,000万〜1億円程度:おおむね40万〜80万円前後
- 遺産総額 1億円超:財産構成に応じて個別見積り
※上記は専門家報酬のおおよその目安です。これに加えて後述の実費(登録免許税・戸籍取得費など)がかかります。相続税の申告が必要な場合は、税理士報酬が別途発生します。
費用は「遺産が多い=高い」とは限らず、不動産の数、相続人の人数、金融機関の数など、手続きの手間の量で決まる面が大きいのが実情です。例えば同じ遺産総額でも、不動産が沖縄本島と離島に分かれている、相続人が県外に多数いる、といったケースは手続きが増え、費用も上がりやすくなります。
費用の3つの内訳(報酬・登録免許税・実費)
丸投げ費用の中身は、大きく次の3つに分けられます。「何にいくら払っているのか」を理解すると、見積りの妥当性を判断しやすくなります。
- 専門家への報酬:司法書士・税理士などへ支払う手続き代行の対価。事務所により固定料金制と料率制があります。
- 登録免許税(相続登記の税金):不動産の名義変更にかかる税金で、原則固定資産税評価額×0.4%です。国税庁の登録免許税の税額表(No.7191)に相続による移転は1,000分の4と明記されています。
- その他の実費:戸籍・除籍謄本、住民票、固定資産評価証明書などの取得費用、郵送費、登記事項証明書代など。数千円〜数万円程度になることが一般的です。
なお、遺産総額が相続税の基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合は、別途、相続税の申告と納税が必要になることがあります。相続税の計算方法は国税庁の相続税の計算(No.4152)で確認できますが、実際の申告要否や税額は個別事情により大きく異なりますので、税理士や税務署へのご確認をお勧めいたします。
相続登記そのものの費用を、自分でやる場合と司法書士に依頼する場合とで詳しく比較した記事もご用意しています。あわせてご覧ください。
司法書士の報酬は「自由化」されている
意外に思われるかもしれませんが、司法書士の報酬はかつての報酬規定が廃止され、現在は各事務所が自由に定めています。日本司法書士会連合会も、報酬は依頼者との合意で定めるものとしたうえで、地域別・手続き別の報酬に関するアンケート結果を公表しています。つまり「相場」はあっても「定価」はないため、複数の見積りを比べ、料金体系が明確な事務所を選ぶことが大切です。
丸投げ(おまかせパック)と個別依頼、どちらが安い?
「まとめて丸投げすると高くつく。手続きごとにバラバラに頼んだ方が安いのでは」と考える方は少なくありません。しかし実際には、個別依頼の方が結果的に高くなるケースが多いのです。
理由は、相続手続きには「相続人が誰か」「どんな財産があるか」といった共通の基礎情報があるからです。丸投げなら、この情報を一度集めれば全手続きで使い回せます。ところが個別に依頼すると、次のような非効率が生じます。
- 専門家ごとに、同じ家族構成や財産の説明を一から繰り返す必要がある
- 戸籍収集や財産調査を、それぞれの専門家が別々にやり直す
- 専門家間の連携がなく、手続きが分断されて二度手間になる
結果として、時間も費用も余計にかかってしまうのです。窓口を一つにまとめておけば、基礎情報の共有でムダが減り、トータルコストを抑えやすくなります。依頼先ごとの費用の違いは、次の記事でも比較しています。

費用面だけではない、相続を丸投げするメリット
丸投げの価値は、費用の効率化だけではありません。財産を守り、最適な結果を得られるという大きなメリットがあります。
手間・時間・精神的負担が大きく減る
相続手続きを洗濯に例えてみましょう。洗濯には「洗う→干す→畳む→収納する」という一連の工程があります。これを別々の人が担当したら、色落ちするものを一緒に洗ってしまったり、畳む人のことを考えずに干したりと、どこかでほころびが出ます。一連の工程を理解した人がまとめて担当した方が、スムーズで確実なのです。相続も同じで、全体像を把握した専門家に任せることで、平日の役所通いや金融機関とのやり取りから解放されます。
専門家の「偏り」を防ぎ、財産全体で最適化できる
意外と知られていませんが、依頼する専門家によって結果が偏る可能性があります。例えば弁護士は法律的な解決を優先するため、裁判では有利になっても税金面で不利になることがあります。不動産業者に相続税対策を相談すると、節税のために多額の借入をしてアパートを購入する提案を受け、将来の空室リスクを抱えてしまうこともあります。
一つの目的(法律・不動産・節税)だけを追うと、別の面で不利益が生じることがあるのです。相続全体を俯瞰し、トータルで最適な落としどころを見つける——これが、窓口を一つにして丸投げする最大の価値だと考えています。
丸投げ費用を抑える3つのコツ
「任せたいけれど、費用はできるだけ抑えたい」という方へ。次の3点を意識すると、ムダな出費を防ぎやすくなります。
- 早めに相談する:相続登記は2024年4月から義務化され、原則3年以内に申請しないと過料の対象となる場合があります。放置は期限リスクと追加費用につながります。
- 料金体系が明確な事務所を選ぶ:「どこまでが基本料金で、何が追加になるか」を最初に確認する。追加料金が積み重なって高額になる失敗を避けられます。
- 自分でできる部分は切り分ける:相続税がかからず、トラブルもなく、財産が預貯金のみなら、必要最小限の依頼で済むこともあります。まず範囲を相談で見極めましょう。
相続登記の義務化と期限については、こちらの記事で詳しく解説しています。

沖縄で相続を丸投げする際に知っておきたいこと
沖縄の相続には、本土とは異なる独特の事情があり、それが費用や手続きの手間に影響することがあります。
- トートーメー(位牌)の承継:沖縄では位牌の継承と財産の承継が結びついて語られることがあり、遺産分割の話し合いが感情面で複雑になりやすい傾向があります。中立な専門家が間に入ることで、冷静な整理がしやすくなります。
- 軍用地の相続:軍用地料の受給権が絡む不動産は評価や名義変更に固有の注意点があり、専門的な確認が必要です。
- 那覇法務局での相続登記:沖縄本島・離島に不動産が分散していると、管轄や取得書類が増え、手続きの手間が大きくなります。丸投げによる一括対応が特に有効な場面です。
「まず誰に相談すればよいか分からない」という段階でも問題ありません。相続の相談先の選び方は、こちらの記事もご参考ください。

よくある質問(FAQ)
相続の丸投げ費用は誰が払うのですか?
原則として、依頼した相続人(または相続人全員)が支払います。実務上は、相続財産(預貯金など)の中から精算する形をとることも多く、相続人間で費用負担の割合を決めておくとトラブルを防げます。負担方法は個別事情により異なりますので、依頼時にご相談ください。
費用が高くなるのはどんなケースですか?
不動産の数が多い、相続人が多数・遠方にいる、金融機関の口座が多い、相続人同士で意見が割れている、といったケースは手続きが増えるため費用が上がりやすくなります。また、相続税の申告が必要な規模になると税理士報酬が別途かかります。逆に、財産が預貯金中心でシンプルな場合は比較的抑えられます。
相続税がかからなくても丸投げできますか?
もちろん可能です。相続税の申告が不要でも、戸籍収集・遺産分割協議書の作成・不動産の名義変更・預貯金の解約といった手続きは発生します。これらをまとめてお任せいただけます。相続税の申告が不要かどうかは基礎控除との関係で判断されますので、判断に迷う場合は税務署や税理士にご確認ください。
遠方に住んでいても丸投げできますか?
はい。県外にお住まいの相続人の方でも、郵送やオンラインを活用してお手続きを進められる場合が多くあります。沖縄の不動産だけ相続する県外在住の方からのご相談も多くいただいています。具体的な進め方は、初回のご相談でご説明いたします。
見積りの前にお金はかかりますか?
当事務所では初回のご相談を無料で承っており、お見積りの提示まで費用はいただきません。財産の内容やご希望を伺ったうえで、含まれる手続きと料金を明確にご提示します。内容にご納得いただいてから正式にご依頼ください。
まとめ
相続手続きの丸投げ(おまかせ)費用について解説してまいりました。要点を整理いたします。
- 丸投げ費用は「専門家報酬+実費(登録免許税・戸籍取得費など)」の合計。遺産規模より、不動産や相続人の数など手続きの手間の量で決まる面が大きい
- 登録免許税は原則固定資産税評価額×0.4%。基礎控除を超える規模なら相続税の申告が必要になることもある
- 個別依頼は基礎情報の使い回しができず、結果的に高くつきやすい。窓口を一つにするとトータルコストを抑えやすい
- 費用を抑えるコツは「早めに相談・料金体系が明確な事務所・依頼範囲の切り分け」の3点
- 沖縄はトートーメーや軍用地など固有の事情があり、丸投げによる一括対応が特に有効
相続手続きでは、「何が問題なのか」「誰に相談し、いくらかかるのか」がモヤモヤして不安を感じる方が多いかと思います。まずはその交通整理から始めることが大切です。
レスター司法書士法人では、窓口を一つにしてワンストップで対応しております。初回のご相談は無料で承っておりますので、費用のお見積りやご不明な点がございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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