遺言書の作成費用はいくら?自筆証書と公正証書の手順・相場を司法書士が解説

遺言書の作成

皆様、こんにちは。レスター司法書士法人の日高憲一です。

「そろそろ遺言書を用意しておきたいけれど、いくらかかるのだろう」「自分で書く自筆証書遺言と、公証役場で作る公正証書遺言では、費用も手間もどれくらい違うのだろう」——このように迷われている方は多いのではないでしょうか。

遺言書は、残されたご家族が相続で揉めないための大切な備えです。しかし、種類によって費用の内訳も作成の手順も大きく異なり、書き方を一つ間違えるだけで無効になってしまうこともあります。せっかく用意したのに効力がなかった、というのは避けたいところです。

本日は、遺言書の作成にかかる費用を自筆証書遺言と公正証書遺言に分けて実額で分解しながら、それぞれの作成手順、無効になりやすい書き方、そして司法書士に依頼するメリットと業務の範囲について解説いたします。

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目次

遺言書の種類と作成費用の全体像

結論から申し上げますと、遺言書の作成費用は「どの種類の遺言書を作るか」で大きく変わります。まずは代表的な2つの種類について、費用感の全体像をつかんでいただければと思います。

一般的に利用される遺言書は、主に次の2種類です。

  1. 自筆証書遺言:ご本人が全文を手書きで作成する遺言書
  2. 公正証書遺言:公証役場で公証人に作成してもらう遺言書

費用だけを見れば自筆証書遺言のほうが安く済みますが、公正証書遺言には「無効になりにくく、確実に効力を残せる」という大きな安心があります。まずは、それぞれの相場を一覧でご確認ください。

遺言書の種類別・費用の目安
  • 自筆証書遺言(自分で作成):0円〜(法務局の保管制度を使う場合は1通3,900円)
  • 自筆証書遺言(専門家のサポートあり):おおむね5万円〜15万円+実費
  • 公正証書遺言(自分で手続き):公証人手数料(財産額により数万円〜)+証人日当など
  • 公正証書遺言(専門家のサポートあり):公証人手数料+専門家報酬10万円〜20万円程度

金額はあくまで一般的な目安であり、財産の額や内容、依頼する専門家によって異なります。ここから、それぞれの費用と手順を具体的に見ていきましょう。

自筆証書遺言の作成費用と手順

自筆証書遺言は、その名のとおりご本人が全文を自筆で書く遺言書です。もっとも手軽で費用を抑えられる方法ですが、その分、書き方のルールを守らないと無効になるリスクもあります。

自筆証書遺言にかかる費用

ご自身で紙とペンを用意して書くだけであれば、費用は基本的に0円です。ただし、次のような実費がかかる場合があります。

  • 戸籍謄本などの取得費用:相続人や財産を確認するための書類代(数百円〜数千円程度)
  • 法務局の保管制度の手数料:1通あたり3,900円

2020年7月から、法務局(遺言書保管所)で自筆証書遺言を預かってもらえる「自筆証書遺言書保管制度」が始まりました。自宅で保管すると紛失や改ざん、発見されないといったリスクがありますが、この制度を使えば法務局が原本を保管してくれるうえ、相続開始後の家庭裁判所での検認手続きが不要になります。手数料は1通3,900円で、費用対効果の高い制度といえます。制度の詳しい内容は、法務省「自筆証書遺言書保管制度」のページでご確認いただけます。

自筆証書遺言の作成手順

自筆証書遺言は、次の流れで作成します。

  1. 財産と相続人を整理する:預貯金・不動産などの財産と、誰に遺すかを書き出します
  2. 全文を自筆で書く:本文・日付・氏名を自分の手で書き、押印します
  3. 財産目録を添える:財産目録はパソコンでの作成や通帳コピーの添付も認められています(各ページに署名・押印が必要)
  4. 保管方法を決める:自宅保管か、法務局の保管制度を利用するかを選びます

手軽に始められるのが自筆証書遺言の魅力ですが、後述するように形式面の不備で無効になるケースが少なくありません。心配な方は、書いた内容を専門家にチェックしてもらうと安心です。

公正証書遺言の作成費用と手順

公正証書遺言は、公証役場で公証人が本人の意思を確認しながら作成する遺言書です。作成には費用がかかりますが、無効になりにくく、原本を公証役場が保管してくれるため、確実性を重視する方に選ばれています。

公証人手数料の仕組みと目安

公正証書遺言の中心となる費用が、公証役場に支払う公証人手数料です。手数料は、遺言によって財産を受け取る人ごとに、その財産額に応じて決まります。おおまかな目安は次のとおりです。

公証人手数料の目安(財産を受け取る人ごと)
  • 100万円まで:5,000円
  • 100万円を超え200万円まで:7,000円
  • 200万円を超え500万円まで:11,000円
  • 500万円を超え1,000万円まで:17,000円
  • 1,000万円を超え3,000万円まで:23,000円
  • 3,000万円を超え5,000万円まで:29,000円
  • 5,000万円を超え1億円まで:43,000円

手数料は、財産を受け取る人ごとに上記の額を計算して合計します。たとえば、配偶者に3,000万円、お子様に2,000万円を遺す場合は、それぞれ23,000円が加算されるイメージです。さらに、遺言の目的となる財産の総額が1億円以下のときは、「遺言加算」として11,000円が上乗せされます。正確な金額の考え方は、日本公証人連合会「公正証書遺言の作成手数料」で確認できます。

公証人手数料以外にかかる費用

公正証書遺言では、公証人手数料のほかにも次のような費用がかかります。

  • 証人2名への日当:公正証書遺言には証人2名の立会いが必要です。専門家に依頼すると1名あたり数千円〜1万円程度が目安です
  • 必要書類の取得費用:戸籍謄本・住民票・印鑑証明書・不動産の登記事項証明書などの取得実費
  • 専門家へのサポート報酬:文案の作成や公証役場との調整を依頼する場合の報酬(おおむね10万円〜20万円程度)

公正証書遺言の作成手順

公正証書遺言は、一般的に次の流れで作成します。

  1. 遺言の内容を整理する:財産の内容と、誰に何を遺すかを決めます
  2. 必要書類を集める:戸籍謄本や不動産の登記事項証明書などを準備します
  3. 公証人と文案を打ち合わせる:公証役場に連絡し、遺言の文案を調整します
  4. 証人2名を手配する:推定相続人などは証人になれないため、要件を満たす証人を用意します
  5. 公証役場で遺言を作成する:本人・証人が立ち会い、公証人が読み上げて署名・押印します

体調などの事情で公証役場に行けない場合は、公証人に自宅や病院へ出張してもらうことも可能です(その場合は手数料が加算されます)。

遺言書が無効になりやすい書き方

費用を抑えられる自筆証書遺言ですが、形式面の不備で無効になってしまうケースが後を絶ちません。よくある失敗例を知っておきましょう。

  • 日付が特定できない:「令和7年7月吉日」のように日にちが特定できない書き方は無効になるおそれがあります
  • 本文をパソコンで作成した:本文は全文自筆が原則です(財産目録を除く)
  • 押印や署名がない:氏名の自書と押印は必須の要件です
  • 訂正の方法が誤っている:加除訂正には法律で定められた方式があり、守らないと訂正が無効になります
  • 財産や相続人の記載があいまい:「自宅」など特定できない表現だと、手続きの際に困ることがあります

また、形式が整っていても、遺留分(一定の相続人に法律で保障された最低限の取り分)を無視した内容にすると、かえって相続争いの火種になることがあります。遺言書は「作れば安心」ではなく、内容まで踏み込んで検討することが大切です。遺留分の考え方については、別の記事でも詳しく解説しています。

司法書士に遺言書作成を依頼するメリットと業務の範囲

遺言書は自分で作ることもできますが、確実に効力を残したい方や、不動産をお持ちの方は、専門家のサポートを受けることをおすすめします。ここでは、司法書士に依頼するメリットと、業務の範囲についてご説明します。

司法書士に依頼するメリット

  • 無効になりにくい遺言書を作れる:形式面の不備を防ぎ、確実に効力を残せます
  • 不動産の記載を正確にできる:登記の専門家として、登記事項証明書に基づいた正確な財産の特定ができます
  • 公正証書遺言の手続きを任せられる:文案作成・必要書類の収集・公証役場との調整・証人の手配までサポートします
  • 相続後の手続きまで見据えられる:遺言の内容が、その後の相続登記までスムーズにつながる形かどうかを確認できます

なお、相続人同士の争いがすでに起きている場合の代理交渉は弁護士の業務、相続税の申告は税理士の業務となります。当事務所では、そうしたケースでは提携する専門家と連携し、遺言書の作成から相続手続きまで、窓口を一つにしてご案内しております。税金の具体的な取り扱いについては、税理士や税務署にご確認いただくことをおすすめします。

沖縄で遺言書を作る際に知っておきたいこと

沖縄では、遺言書の作成にあたって本土とは異なる事情が絡むことがあります。

  • 軍用地:借地料収入のある軍用地は評価や分け方が複雑になりやすく、誰にどう遺すかを慎重に検討する必要があります
  • トートーメー(位牌)の承継:祭祀の承継者を遺言で指定しておくことで、後々の親族間の混乱を避けられます
  • 名義が古いままの不動産:先代名義のままの土地がある場合、遺言の前提として名義の整理が必要になることがあります

公正証書遺言は那覇をはじめ県内の公証役場で作成できます。沖縄特有の財産事情を踏まえた遺言書づくりは、地域の実情を知る専門家にご相談いただくと安心です。

よくある質問

遺言書の作成でいちばん安く済む方法は?

費用だけを見れば、ご自身で書く自筆証書遺言がもっとも安く、基本的に0円で作成できます。ただし、無効になるリスクや紛失のリスクを考えると、法務局の保管制度(1通3,900円)を利用したり、内容を専門家にチェックしてもらったりするほうが、結果的に安心です。「安さ」と「確実さ」のバランスで選ばれることをおすすめします。

自筆証書遺言と公正証書遺言、どちらを選べばよいですか?

個別の事情によって異なりますが、一般的には、財産が多い方・不動産をお持ちの方・相続人同士で揉める可能性がある方には、無効になりにくい公正証書遺言が向いています。財産がシンプルで、まずは手軽に用意したいという方は自筆証書遺言から始めるのも一つの方法です。迷われる場合は、専門家にご相談のうえで判断されるとよいでしょう。

公証人手数料は誰が支払うのですか?

公正証書遺言を作成する際の公証人手数料は、原則として遺言者(遺言書を作るご本人)が作成時に公証役場へ支払います。金額は財産額によって変わるため、事前に公証役場や専門家に確認しておくと安心です。

一度作った遺言書を書き直すことはできますか?

はい、遺言書は何度でも作り直すことができます。新しい日付で作成した遺言書が優先されるのが原則です。ご家族の状況や財産の内容が変わったときは、遺言書を見直すことをおすすめします。公正証書遺言を作り直す場合は、あらためて公証人手数料がかかる点にご留意ください。

まとめ

遺言書の作成費用と手順について解説してまいりました。要点を整理いたします。

  • 自筆証書遺言は費用0円から作成でき、法務局の保管制度(1通3,900円)を使えば紛失や検認のリスクを減らせる
  • 公正証書遺言は公証人手数料が中心で、財産額に応じて決まり、財産総額1億円以下なら11,000円の遺言加算が上乗せされる
  • 専門家にサポートを依頼する場合は、これらの実費に加えて報酬(自筆で5万円〜、公正証書で10万円〜20万円程度)がかかる
  • 日付・自書・押印・訂正方法など、形式面の不備で無効になりやすいため注意が必要
  • 不動産をお持ちの方や確実性を重視する方は、司法書士など専門家のサポートを受けると安心

遺言書は、残されたご家族への最後の思いやりです。「いくらかかるのか」「どう書けば無効にならないのか」と不安を感じたら、まずはその交通整理から始めることが大切です。

レスター司法書士法人では、窓口を一つにしてワンストップで対応しております。遺言書の作成から相続手続きまで、初回のご相談は無料で承っておりますので、ご不安な点やご不明な点がございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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監修者 司法書士 日高憲一

この記事の監修者

日高 憲一(レスター司法書士法人 代表社員司法書士)

沖縄県名護市出身。那覇市壺川で開業以来、相続登記・家族信託・渉外登記・事業承継など沖縄の登記・法務案件を幅広く手がける。実務経験20年・相続案件実績2,000件。

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