皆様、こんにちは。レスター司法書士法人の日高憲一です。
ご家族が亡くなり、いざ相続の手続きを始めようとしたとき、「そもそも、これは誰に相談すればいいのだろう?」と手が止まってしまう方は本当に多くいらっしゃいます。弁護士、司法書士、税理士、行政書士、銀行、市役所の無料相談……相談できそうな場所はたくさんあるのに、それぞれが何をしてくれるのかが分かりにくいのですよね。
相談先を間違えると、「話は聞いてもらえたけれど、結局その手続きはうちではできないと言われた」「別の専門家を紹介されて、また一から説明し直すことになった」と、時間も気力も余計に消耗してしまいます。逆に、最初に自分の悩みに合った窓口を選べれば、相続の手続きは驚くほどスムーズに進みます。
本日は、相続の相談先を「悩み別」に整理し、それぞれの対応範囲と費用の目安を、司法書士の立場から忖度なく比較して解説いたします。正直に申し上げると、当事務所(司法書士)が向かないケースもきちんとお伝えします。無料相談の上手な使い方や、沖縄ならではの相談時の注意点、相談前にそろえておくと良いものまでまとめましたので、ご自身に合った窓口を見つける手がかりにしていただければ幸いです。
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相続の相談先は「悩み別」に選ぶのが正解
結論から申し上げます。相続の相談先は「有名だから」「近いから」で選ぶのではなく、ご自身が今かかえている悩みの種類で選ぶのが正解です。相続に関わる専門家は、それぞれ法律で「できること」の範囲が決まっているためです。
まずは、代表的な悩みごとにどの窓口が向いているのかを一覧でご覧ください。あくまで一般的な目安であり、個別の事情によって最適な相談先は変わりますので、迷ったときは複数の窓口で話を聞いてみることをおすすめします。
- 不動産の名義変更(相続登記)をしたい → 司法書士
- 相続人どうしで揉めている・揉めそう → 弁護士
- 相続税がかかりそう・節税したい → 税理士
- 戸籍集めや遺産分割協議書の作成だけ頼みたい → 行政書士・司法書士
- まず何から手をつければいいか整理したい → 市区町村役場の無料相談
- 費用が払えるか不安 → 法テラス
- 手続き全体をまとめて任せたい → ワンストップ対応の事務所
ここで大切なのは、多くのご家庭では「悩みが一つだけ」ということは少ない、という点です。たとえば「不動産の名義変更もしたいし、相続税もかかりそう」というように、複数の分野にまたがるのが相続の実情です。その場合は、複数の専門家が連携して動ける事務所を選ぶと、同じ説明を何度も繰り返す手間が省けます。
相続の相談先7つを「対応範囲」と「費用」で比較
ここからは、相続で相談できる代表的な7つの窓口について、それぞれ「何ができて、何ができないのか」「費用の目安はどのくらいか」を具体的に見ていきます。専門家に頼む前に、この違いを押さえておくと相談がぐっとスムーズになります。
司法書士|不動産の名義変更(相続登記)に対応
司法書士は、不動産の名義変更(相続登記)の専門家です。相続登記は司法書士の代表的な業務で、戸籍の収集や遺産分割協議書の作成、法務局への登記申請までを一括して代行できます。2024年4月から相続登記が義務化されたこともあり、まず司法書士に相談される方が増えています。
費用の目安は、相続登記1件あたり報酬が概ね6万〜10万円程度に、登録免許税などの実費が加わるのが一般的です(不動産の数や評価額、事案の複雑さによって変動します)。司法書士会の相談窓口については、日本司法書士会連合会の案内も参考になります。相続登記を自分でやる場合との費用の違いは、以下の記事で詳しく比較しています。
なお、相続放棄の書類作成や、簡易裁判所での140万円以下の争いについても司法書士が対応できる範囲があります。ただし、相続人どうしの本格的な争いの「交渉・代理」は弁護士の領域であり、司法書士はこれを行えません。この線引きは後ほど改めてお伝えします。
弁護士|相続トラブル・揉めごとに対応
弁護士は、相続人どうしのトラブル(争族)を代理人として解決できる唯一の専門家です。遺産分割で話し合いがまとまらない、一部の相続人が財産を開示しない、遺留分を請求したい(されている)といった、当事者間の交渉や調停・裁判が必要なケースでは弁護士が適しています。
費用は事案によって幅が大きく、着手金と成功報酬を合わせて数十万円〜数百万円になることもあります。相続をめぐる相談は、日本弁護士連合会でも各地の法律相談センターが案内されています。すでに感情的な対立がある場合は、早めに弁護士へ相談することで、かえって費用も時間も抑えられることが少なくありません。
税理士|相続税の申告・節税に対応
税理士は、相続税の申告や節税の専門家です。相続税がかかるかどうかの正確な試算、申告書の作成、生前の相続税対策などは税理士の領域です。相続税には基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)があり、遺産がこの範囲内であれば相続税はかからず申告も不要になるのが原則ですが、判断に迷う場合は税理士や税務署へのご確認をおすすめします。
費用の目安は、遺産総額の0.5〜1%程度が一つの相場とされています。相続税の申告のしかたや基礎控除の考え方については、国税庁のサイトでも確認できます。私たち司法書士は登記の専門家であり、税額の計算や申告書の作成は行えません。相続税が関わりそうなときは、税理士との連携が欠かせません。
行政書士|書類の収集・作成に対応
行政書士は、戸籍などの必要書類の収集や、遺産分割協議書などの書類作成を行える専門家です。基本的にご自身で手続きを進めるつもりで、書類の準備だけを頼みたいという場合に向いています。費用は書類の種類や量によりますが、比較的スポットで依頼しやすいのが特徴です。
ただし、行政書士は不動産の名義変更(登記)や相続税の申告、相続人どうしの争いの代理はできません。相続に不動産が含まれる場合は、結局あらためて司法書士への依頼が必要になることもありますので、最初に手続きの全体像を確認しておくと安心です。
銀行・信託銀行|遺産整理・遺言信託に対応
銀行や信託銀行では、「遺産整理業務」や「遺言信託」といったサービスを提供しているところがあります。窓口が一つにまとまり、安心感があるのがメリットです。一方で、実際の登記や申告は提携する司法書士・税理士が行うため、その分の費用が上乗せされ、総額では専門家に直接依頼するより高くなる傾向があります。手数料の最低金額が100万円前後に設定されているケースもあります。
費用よりも手間をかけたくない、まとまった資産があり管理も任せたい、という方には選択肢になりますが、費用を抑えたい方は各専門家に直接相談する方が向いているでしょう。
市区町村役場の無料相談|まず何から、の交通整理に
市区町村役場では、弁護士や司法書士などによる無料相談会を定期的に開催しているところが多くあります。「まず何から手をつければいいか分からない」という最初の交通整理には非常に有効です。費用がかからず、気軽に利用できるのが最大のメリットです。
ただし、1回あたり20〜30分程度と時間が限られており、担当する専門家もその日ごとに変わります。あくまで一般的なアドバイスの範囲で、そのまま手続きを依頼できるわけではない点には注意が必要です。個別の込み入った事情は、後日あらためて専門家に相談することになります。
法テラス|費用が心配な方の窓口
法テラス(日本司法支援センター)は、国が設立した法的トラブルの総合案内所です。収入などの条件を満たせば、無料の法律相談や、弁護士・司法書士費用の立て替え制度を利用できます。費用が払えるか不安で相談をためらっている方にとって、心強い窓口です。詳しい利用条件は法テラスの公式サイトでご確認ください。
【正直にお伝えします】司法書士が向かないケース
ここは、私たち司法書士のホームページでは少し書きにくいことですが、あなたの大切な時間を守るために正直にお伝えします。相続のお悩みの中には、司法書士ではなく他の専門家に相談した方がよいケースがはっきりと存在します。
相続人どうしで揉めている・揉めそうなら弁護士へ
遺産の分け方で相続人どうしの意見が対立している、あるいはこれから対立しそうだという場合は、迷わず弁護士にご相談ください。相手方との交渉や、家庭裁判所での調停・裁判の代理は、弁護士だけができる業務です。司法書士は、たとえご依頼をいただいても、この「代理人として相手と交渉する」役割を担うことができません。
争いがあるのに司法書士や行政書士に相談を続けても、根本的な解決には至らず、かえって時間を失ってしまいます。感情的な対立が深まる前に弁護士へ相談する方が、結果的に費用も心の負担も軽く済むことが多いのです。
相続税がかかりそうなら税理士へ
遺産の総額が基礎控除を超え、相続税がかかりそうな場合は、税理士への相談が欠かせません。相続税の試算や申告は税理士の専門領域であり、司法書士は税額の計算や申告書の作成を行えません。特に、遺産の分け方(遺産分割)は納める相続税額に直結するため、名義変更を進める前に税理士に確認しておくべきケースがあります。
「司法書士に相続登記だけ頼んだが、後から相続税の特例が使えたのに使いそびれていた」といった事態を防ぐためにも、相続税が関わる可能性があるなら、早い段階で税理士と連携できる事務所を選ぶことが大切です。
逆に言えば、相続税がかからず、相続人どうしのトラブルもなく、不動産の名義変更が主な手続き――というご家庭であれば、司法書士が最も適した相談先になります。ご自身がどのケースに当てはまるかを見極めることが、相談先選びの第一歩です。手続きをまとめて任せたい場合の考え方は、以下の記事もご覧ください。

無料相談の上手な使い方と限界
「相続 相談 無料」で探される方はとても多いです。無料相談は上手に使えば非常に役立ちますが、限界もあります。ここを理解しておくと、無料相談の時間を無駄にせずに済みます。
無料相談でできること・できないこと
無料相談でできるのは、主に「自分の状況では何が問題で、どの専門家に、どの手続きを頼めばよいか」の交通整理です。おおまかな費用感や手続きの流れをつかむのにも適しています。
一方で、無料相談だけで複雑な問題がすべて解決することは、正直まずありません。詳細な財産評価や、具体的な書類の作成・手続きの代行は、正式な依頼(有料)が必要になるのが一般的です。無料相談は「解決の入り口」と捉え、そこで信頼できそうな専門家を見極める場、と考えるとよいでしょう。
「相続相談センター」を名乗る窓口の選び方
「◯◯相続相談センター」という名前の窓口も多く見かけます。これらは司法書士や税理士などの専門家が相続に特化して運営していることが多く、便利な反面、名前だけでは実態が分かりにくいという面もあります。相談先を選ぶときは、次の点を確認するとよいでしょう。
- 実際に手続きを担当するのが「どの資格の専門家」かが明示されているか
- 他の士業(弁護士・税理士など)と連携できるワンストップ体制か
- 初回相談で費用の見積もりとリスクをきちんと説明してくれるか
この3点が明確な窓口であれば、安心して相談を進めやすくなります。
沖縄で相続を相談するときに知っておきたいこと
沖縄で相続の相談先を選ぶときには、本土とは少し異なる、沖縄ならではの事情も知っておくと役立ちます。当事務所が那覇を拠点に日々ご相談をお受けする中で、特に多いポイントをお伝えします。
- 軍用地の相続:基地に貸している軍用地は沖縄特有の財産で、評価や分け方に独特の考え方が必要です。売買相場と相続税評価が異なることもあり、税理士・司法書士の連携が特に重要になります。
- トートーメー(位牌)の継承:沖縄では位牌やお墓、門中の財産を誰が継ぐかが、遺産分割の話し合いに影響することがあります。法律上の相続とは別のしきたりが絡むため、地域の実情を理解した相談先だと話が早く進みます。
- 名義が古いまま放置された不動産:おじい・おばあの代から名義変更されていない土地も少なくありません。相続人が何十人にもふくらんでいるケースもあり、早めの相続登記が大切です。
- 県外に住むご家族との調整:相続人が本土に出ているご家庭も多く、遠方とのやり取りに慣れた事務所だと手続きがスムーズです。
沖縄の不動産の相続登記は那覇法務局などが窓口となります。地域の事情を踏まえて相談できる専門家を選ぶことが、遠回りを避けるコツです。なお、2024年4月から相続登記は義務化されており、正当な理由なく期限内に手続きをしないと過料の対象となる場合があります。詳しくは以下の記事をご覧ください。
相談前に準備しておくとよいもの
相談をより実りあるものにするために、可能な範囲で以下をそろえておくと、専門家からより具体的なアドバイスを受けやすくなります。すべてが揃っていなくても構いませんので、手元にあるものだけでも持参されるとよいでしょう。
- 亡くなった方(被相続人)の情報:戸籍謄本、住民票の除票など。手元になければ「いつ・どこで亡くなったか」のメモでも構いません
- 相続人がわかる情報:家族関係の分かるメモ(誰が相続人になるか)
- 遺産の内容がわかる資料:不動産の固定資産税納税通知書や登記簿、預貯金の通帳、証券・保険の書類など
- 遺言書の有無:ある場合はその写し(自筆の遺言書は勝手に開封しないようご注意ください)
- 聞きたいことのメモ:不安に思っていること、確認したいことを箇条書きに
特に「聞きたいことのメモ」は重要です。限られた相談時間を有効に使うために、あらかじめ質問を整理しておくことを強くおすすめします。
よくある質問
相続の相談は無料でできますか?
初回相談を無料としている専門家事務所は多くあります。また、市区町村役場の無料相談会や法テラス(条件あり)など、公的な無料窓口も利用できます。ただし、無料で対応してもらえるのは主に相談や大まかな見立てまでで、実際の手続きの代行や詳細な書類作成は有料の正式依頼となるのが一般的です。当事務所でも初回のご相談は無料で承っております。
相続の相談は司法書士と弁護士のどちらにすべきですか?
相続人どうしで揉めている、または揉めそうな場合は弁護士が適しています。一方、揉めごとがなく、不動産の名義変更(相続登記)が主な手続きであれば司法書士が適しています。どちらか判断がつかないときは、まず無料相談を利用して状況を整理するのも一つの方法です。個別の事情によって最適な相談先は変わりますので、迷ったときはお気軽にお問い合わせください。
相談したら、必ず依頼しなければいけませんか?
そのようなことはありません。相談した上で、依頼するかどうかはご自身で判断していただけます。むしろ、複数の窓口で話を聞いて比較検討することは、後悔しない相談先選びのために有効です。信頼できると感じた専門家に、納得のうえでご依頼されるのがよいでしょう。
遺産が少なければ相談しなくても大丈夫ですか?
遺産が少ない場合でも、不動産が含まれていれば相続登記(名義変更)は必要ですし、2024年4月からは相続登記が義務化されています。金融資産のみで相続人の間に争いもなければ、ご自身で銀行手続きを進められることもありますが、判断に迷う場合は一度専門家に確認されると安心です。「うちは相談するほどではない」と自己判断で放置した結果、後の名義変更が複雑になってしまうケースもあります。
まとめ
相続の相談先の選び方について解説してまいりました。要点を整理いたします。
- 相続の相談先は「悩みの種類」で選ぶのが正解。専門家ごとにできることの範囲が法律で決まっている
- 不動産の名義変更は司法書士、揉めごとは弁護士、相続税は税理士が基本の使い分け
- 市役所の無料相談は「まず何から」の交通整理に、法テラスは費用が不安な方の窓口に向いている
- 無料相談は解決の入り口。信頼できる専門家を見極める場と捉える
- 沖縄では軍用地・トートーメー・古い名義など特有の事情があり、地域の実情に詳しい相談先だと遠回りを避けられる
- 複数の分野にまたがる相続では、士業が連携するワンストップ対応の事務所だと手間が省ける
相続では、「何が問題なのか」「誰に相談すればよいのか」が分からず、モヤモヤと不安を抱えたまま時間が過ぎてしまう方が本当に多くいらっしゃいます。まずはその交通整理から始めることが、解決への一番の近道です。
レスター司法書士法人では、窓口を一つにしてワンストップで対応しております。相続税や争いごとが関わる場合も、提携する税理士・弁護士と連携し、あなたにとって最適な相談先へと交通整理いたします。初回のご相談は無料で承っておりますので、「これは誰に相談すればいいの?」という段階でも、どうぞお気軽にご相談ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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