相続登記の費用相場を徹底比較!自分でやる場合と司法書士に依頼する場合の違い

皆様、こんにちは。レスター司法書士法人の日高憲一です。

相続登記が義務化されたことで、「自分でやった方が安いのでは?」「司法書士に頼むと高いのでは?」と悩まれている方も多いのではないでしょうか。

実際、YouTube動画のコメント欄にも「司法書士に相続登記を依頼するとぼったくられる」というご意見をいただいたことがあります。

確かに、相続人の構成がシンプルで、戸籍を集めるのが苦にならず、平日に役所や法務局へ通える方であれば、自分で手続きするという選択肢もあるでしょう。

一方で、事案が複雑だったり、戸籍が県外に散らばっていたり、相続人同士の意見が合わなかったりする場合は、専門家に依頼した方がスムーズに進むケースもあります。

本日は、相続登記を自分でやる場合と専門家に依頼する場合の費用の違い、そして専門家に依頼すべきかどうかの判断ポイントについて、実際の見積書をもとに詳しく解説いたします。

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目次

相続登記の費用は「実費」と「報酬」の2本柱

相続登記にかかる費用は、大きく分けて以下の2つです。

  1. 実費(誰がやっても同じ費用): 収入印紙、切手、登録免許税など
  2. 司法書士の報酬(事務所によって異なる): 手続き代行や書類作成の対価

実費は自分でやっても専門家に依頼しても変わりませんが、報酬は司法書士によって異なります。今回は、家族5名、不動産評価額1,000万円という標準的なケースを想定して、費用の内訳を見ていきましょう。

基本的な相続登記の費用内訳

司法書士に依頼した場合の費用(標準的な事例)

以下は、私の事務所で実際に使用している見積書の内訳です。

費用内訳
  • 事前調査(登記簿・固定資産評価書の取得): 報酬10,000円 / 相場5,000円 / 実費3,300円
  • 所有権移転登記(名義変更手続き): 報酬59,000円 / 相場50,000円
  • 戸籍収集(出生から死亡までの戸籍を県外含めて収集): 報酬15,000円 / 相場10,000円
  • 相続関係説明図作成(家族構成の整理): 報酬5,000円 / 相場5,000円
  • 遺産分割協議書作成: 報酬25,000円 / 相場30,000円
  • 切手・交通費: 報酬15,000円 / 実費10,000円
  • 事後調査(登記完了後の確認・権利証の取得): 報酬5,000円
  • 登録免許税(評価額の0.4%): 実費40,000円(評価額1,000万円の場合)

合計: 約13万円(司法書士報酬約6万円 + 実費約7万円)

自分でやる場合の費用

自分で手続きをする場合は、司法書士の報酬部分がかからないため、実費のみの約7万円で済みます。

つまり、専門家に依頼すると約6万円の追加費用がかかるということになります。

評価額や相続人の数で費用はどう変わる?

評価額が高い場合

不動産の評価額が高くなると、登録免許税が大きく増えます。

  • 評価額1,000万円の場合: 登録免許税4万円
  • 評価額1億円の場合: 登録免許税40万円

また、評価額が高い場合は責任も重くなるため、司法書士の報酬も若干上がります。

相続人が多い場合

相続人が10名など多数になると、戸籍収集や遺産分割協議書の作成に手間がかかるため、報酬が2割〜5割程度増える可能性があります。例えば、基本報酬が6万円の場合、10万円程度になることもあります。

不動産が複数の市町村に散らばっている場合

不動産が県内外の複数の市町村にまたがっている場合、調査や手続きの手間が増えるため、費用が加算されます。

自分でやる場合と専門家に依頼する場合の期間の違い

専門家に依頼した場合

標準的なケースであれば、3〜6ヶ月程度で手続きが完了します。

自分でやる場合

専門知識がない状態で手続きを進めるため、6ヶ月以上かかるケースも珍しくありません。実際、法務局に12回通ったという方もいらっしゃいます。

平日に役所や法務局へ何度も通う必要があるため、仕事をされている方にとっては大きな負担となるでしょう。

イレギュラーなケースでは専門家への依頼が必須

以下のようなイレギュラーなケースでは、自分で手続きするのは現実的ではなく、専門家への依頼が必須となります。それぞれ1つの手続きにつき20〜30万円の追加費用がかかります。

1. 相続人が行方不明(連絡は取れないが生きている)

住所は最後のものまで把握できているけれど、その後の行方が分からない。何年も連絡が取れていないけれど、おそらくまだ生きている——そんなケースです。

この場合、行方不明の相続人に代わる不在者財産管理人を裁判所に選任してもらう手続きが必要です。これだけで20〜30万円程度が追加でかかります。

2. 50年以上音信不通(もはや死亡している可能性が高い)

「50年まったく連絡を取っていない。生きていたら150歳くらいになる計算だ……もう亡くなっているのはほぼ間違いない」——しかし死亡届が出ていないというケースです。

このような場合には、失踪宣告という法的な手続きで「死亡したものとみなす」という処理が必要です。裁判所を通じた手続きになるため、やはり20〜30万円程度の追加費用がかかります。

3. 相続人が海外在住・外国籍

相続人がアメリカやブラジルなど海外に住んでいる場合、遺産分割協議書に署名・押印してもらうために書類を地球の裏側まで郵送し、現地の証明書を取得してもらって送り返してもらう、という作業が発生します。

日本で通用する証明書が取れないケースもあり、書類の取得・やり取りが非常に複雑です。専門家に任せれば、こうした海外対応をすべて代行してもらえます。

4. 相続人が認知症(意思表示ができない)

「今日サインできたとしても、明日には忘れてしまっている」——認知症の相続人がいる場合、遺産分割協議書へのサインが法的に有効かどうかという問題が生じます。

この場合は、成年後見人を裁判所に選任してもらい、後見人が相続人の代わりに手続きに参加する必要があります。

5. 相続人間で意見が合わない(遺産分割協議が成立しない)

遺産分割協議は、相続人全員の同意がなければ成立しません。たとえば、前の妻との間の子供も相続人になるケースでは、「あなたにも協力してほしい。遺産分割協議書にサインして、印鑑証明書を送ってほしい」と自分で連絡しなければならない場面があります。

心理的に大きな負担になりますが、専門家に依頼すれば、この連絡も含めてすべて代行してもらえます。それでも合意できない場合は、裁判所での調停や弁護士への依頼が必要になります。


これらのケースは、一つ重なるごとに20〜30万円が上乗せされます。通常は「自分でもできるかも」と思えるケースでも、これらのイレギュラーが一つでも含まれると、専門家への依頼がほぼ必須と考えてください。

専門家に依頼すべきかどうかの判断ポイント

以下の3つのポイントで判断されることをお勧めします。

  1. 時間と労力をどう考えるか
  2. 相続登記の義務化と罰則のリスク
  3. 心理的な負担も考慮する

専門家へ丸投げする場合の費用感については、関連記事『相続手続きは専門家に丸投げすべき?費用とメリットを司法書士が解説』もあわせて、ご覧ください。

1. 時間と労力をどう考えるか

自分でやれば7万円、専門家に依頼すれば13万円。この6万円の差額を、あなたの時間と労力と天秤にかけてください。

  • 平日に何度も役所や法務局へ通える余裕がありますか?
  • 戸籍の読み方や登記申請書の書き方を一から学ぶ時間がありますか?
  • 手続きのミスで何度もやり直すリスクを負えますか?

2. 相続登記の義務化と罰則のリスク

2024年4月から相続登記が義務化され、3年以内に登記しないと10万円以下の過料が科される可能性があります。

「後でやればいい」と先延ばしにして罰金を払うリスクや、自分でやって時間がかかるリスクを考えると、6万円の追加費用で確実に手続きを完了させる方が合理的とも言えます。

3. 心理的な負担も考慮する

例えば、以下のような状況では、専門家に依頼することで心理的な負担を大幅に軽減できます。

  • 前妻の子供など、連絡を取りたくない相続人がいる
  • 家族間の関係が悪く、直接話したくない
  • 海外在住の相続人との連絡や書類のやり取りが面倒

これらは「代行」できる部分であり、相続代行サービスとして専門家に任せることができます。

費用を抑える裏技: 一部を自分でやる

もし費用を少しでも抑えたい場合、自分でできる部分は自分でやって、難しい部分だけ専門家に依頼するという方法もあります。

例えば:

  • 戸籍収集は自分で行い、その分の報酬を減額してもらう
  • 遺産分割協議書の下書きは自分で作り、確認だけ依頼する

このような相談に応じてくれる司法書士事務所もありますので、見積もりの際に相談してみてください。

相続登記を自分でやる手順【5ステップ】

「自分でやってみよう」と決めた方のために、遺産分割協議による相続登記を想定した標準的な流れを5つのステップでご紹介します。全体像を先に把握しておくと、途中で迷いにくくなります。

STEP1|不動産と相続人を調査する

まず、亡くなった方(被相続人)名義の不動産を確定します。毎年届く固定資産税の課税明細書や、市町村役場で取得できる名寄帳で洗い出し、法務局で登記事項証明書を取得して現在の名義・持分を確認しましょう。あわせて、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を集め、相続人が誰かを確定します。

STEP2|必要書類を集める

遺産分割協議による相続登記で必要になる主な書類は次のとおりです。

書類主な入手先
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本一式本籍地の市区町村役場
被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票)最後の住所地の市区町村役場
相続人全員の現在の戸籍謄本各自の本籍地の市区町村役場
相続人全員の印鑑証明書各自の住所地の市区町村役場
不動産を取得する相続人の住民票住所地の市区町村役場
固定資産評価証明書(課税明細書でも可の場合あり)不動産所在地の市町村役場
遺産分割協議書相続人が作成
相続関係説明図(原本還付を受けたい場合)相続人が作成

令和6年(2024年)3月から始まった戸籍の広域交付制度により、本籍地以外の市区町村窓口でも戸籍謄本をまとめて請求できるようになりました。沖縄では相続人の一部が県外にお住まいのケースも多いため、この制度を活用すると収集の負担を減らせます(一部対象外の戸籍もあります)。

STEP3|遺産分割協議書を作成する

相続人全員で「誰がどの不動産を相続するか」を話し合い、その内容を遺産分割協議書にまとめて全員が署名し、実印を押印します。不動産は登記事項証明書のとおりに正確に表示することが重要で、記載が曖昧だと法務局で補正を求められる原因になります。書き方の詳細と雛形は、以下の記事をご覧ください。

STEP4|登記申請書を作成する

登記申請書に決まった用紙はなく、法務局ホームページの「不動産登記の申請書様式について」のページから、相続のパターン別(遺産分割協議・法定相続・遺言)の様式と記載例をダウンロードできます。登録免許税(固定資産税評価額×0.4%)を計算し、原則として収入印紙で納付します。

STEP5|管轄の法務局へ申請する(窓口・郵送・オンライン)

相続登記は、不動産の所在地を管轄する法務局に申請します。お住まいの近くの法務局ではない点にご注意ください。管轄は法務局ホームページの「管轄のご案内」で調べられ、沖縄県内の不動産は那覇地方法務局(本局・各支局・出張所)の管轄です。申請方法は3つあります。

  • 窓口申請: 平日の開庁時間内に持参。その場で形式的な確認を受けられる安心感があります
  • 郵送申請: 遠方の法務局が管轄の場合に便利。書留郵便で送付し、返信用封筒を同封します
  • オンライン申請: 登記・供託オンライン申請システムを利用。マイナンバーカード等による電子署名の準備が必要で、初回の環境設定にやや手間がかかります

県外にお住まいで沖縄の実家や土地を相続した方は、郵送申請やオンライン申請を使えば来沖せずに手続きすることも可能です。登記が完了したら、権利証にあたる登記識別情報通知を受け取り、大切に保管してください。

自分でやる場合に詰まりやすいポイント

当事務所へのご相談でも、「自分で始めてみたが途中で行き詰まった」というお声は少なくありません。特につまずきやすいのは次の4点です。

戸籍が出生までさかのぼって揃わない

被相続人の戸籍は、死亡時のものだけでなく出生までさかのぼって連続して集める必要があります。婚姻や転籍、戸籍の改製のたびに戸籍は作り直されており、古い手書きの戸籍は読み解くだけでも一苦労です。1通足りないだけでも登記は通りません。

登記簿上の住所と亡くなった時の住所が違う

登記簿に記載された被相続人の住所と、死亡時の住所が引っ越し等で一致しないケースはよくあります。この場合、住民票の除票や戸籍の附票で住所のつながりを証明する必要があり、古い記録が保存期間経過で取得できないと、さらに別の書類での対応が必要になります。

私道や共有持分などの登記漏れ

自宅の土地・建物だけを名義変更し、前面の私道の持分や敷地の共有持分を見落とすケースです。課税明細書に載らない非課税の土地もあるため、名寄帳や登記情報での確認が欠かせません。漏れに気づかないまま放置すると、将来の売却時に再度の相続登記が必要になります。

補正の連絡に平日対応が必要になる

申請書類に不備があると、法務局から補正(訂正)の連絡が入ります。対応は平日の日中が基本となるため、お仕事をお持ちの方は日程調整が負担になりがちです。補正を放置すると申請が却下されることもあります。

費用の内訳と義務化の詳細は別記事で

相続登記の費用の詳細内訳

登録免許税・書類の取得費などの実費と司法書士報酬の内訳、費用が高くなりやすいケースについては、以下の記事で詳しく解説しています。

相続登記の義務化と過料

令和6年(2024年)4月1日から相続登記は義務化され、相続で不動産の取得を知った日から3年以内に申請しないと10万円以下の過料の対象になり得ます。過去の相続分の期限(令和9年3月31日)など、制度の詳細は以下の記事をご覧ください。

よくある質問(FAQ)

相続登記はどこの法務局に申請しますか?

不動産の所在地を管轄する法務局です。複数の管轄に不動産がある場合は、管轄ごとに申請が必要になります。管轄は法務局ホームページで確認できます。

登記申請書はどこで入手できますか?

法務局ホームページから相続のパターン別の様式と記載例を無料でダウンロードできます。決まった用紙はないため、A4用紙にご自身で作成しても構いません。

遺言書がある場合も手順は同じですか?

大きな流れは同じですが、遺産分割協議書は不要になり、遺言書を添付して申請します。自筆証書遺言の場合は、原則として家庭裁判所の検認(法務局の保管制度を利用していた場合は不要)を先に済ませる必要があります。

自分で始めて途中で司法書士に切り替えられますか?

可能です。集めていただいた戸籍などの書類はそのまま活かせますので、費用を抑えつつ負担の大きい部分だけ任せるという進め方もできます。行き詰まりを感じたら、無理をせずお早めに当事務所の無料相談をご利用ください。

まとめ

POINT
  • 自分でやる場合の費用: 約7万円(実費のみ)
  • 専門家に依頼する場合の費用: 約13万円(実費7万円+報酬6万円)
  • 差額は約6万円: この金額を時間・労力・安心感と天秤にかける
  • イレギュラーなケースでは専門家への依頼が必須: 追加で20〜30万円かかる場合も
  • 相続登記の義務化: 3年以内に登記しないと10万円以下の過料のリスク

相続登記は、一見シンプルに見えても、実際には専門知識が必要な手続きです。特に、相続人が多かったり、不動産が複数の市町村にまたがっていたり、相続人間で意見が合わなかったりする場合は、専門家のサポートが不可欠です。

ご自身の状況を踏まえて、自分でやるか、専門家に依頼するかをご判断ください。ご不安な点やご不明な点がございましたら、どうぞお気軽にレスター司法書士法人にご相談ください。

YouTubeやってます!

本記事の内容は、YouTube動画『自分でやる場合と専門家に依頼したい場合の相続登記の費用はいくら?必要経費と相場と徹底解説!』でも解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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監修者 司法書士 日高憲一

この記事の監修者

日高 憲一(レスター司法書士法人 代表社員司法書士)

沖縄県名護市出身。那覇市壺川で開業以来、相続登記・家族信託・渉外登記・事業承継など沖縄の登記・法務案件を幅広く手がける。実務経験20年・相続案件実績2,000件。

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