「実家をどうするか」
これは今、多くのご家族が直面している深刻な問題ではないでしょうか。
親御様が高齢になり、施設への入居や同居を考える時、実家をそのままにしておくべきか、売却するべきか、それとも解体するべきか。判断に迷われる方は少なくありません。
特に地方にお住まいだった親御様の実家の場合、都会に出ている子供たちにとって、管理や手続きは想像以上に大変です。
思い出の詰まった実家を手放すことへの心理的な抵抗もあれば、空き家として放置することのリスクもあります。
さらに、相続が発生した際には、兄弟姉妹間で意見が分かれ、トラブルに発展することも珍しくありません。
本日は、「実家じまい」をテーマに、そのタイミングや家族で話し合うべきポイント、専門家としての視点から注意すべき点について解説いたします。
本記事の内容は、YouTube動画『実家じまいのタイミングとは? #実家じまい #不動産 #相続』でも解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
実家じまいとは何か
「実家じまい」という言葉を初めて聞く方もいらっしゃるかもしれません。これは、親御様が住んでいた実家を畳む、つまり売却したり解体したりすることを指します。
団塊の世代の方々が80代を迎え、その子供世代が50代になっている今、実家をどうするかという問題が全国的に顕在化しています。
実家には以下のような要素が複雑に絡み合っています:
- 家族の思い出:仏壇、お正月や法事など家族が集まる場所
- 親御様の想い:「この家で最期を迎えたい」という強い思い入れ
- 物理的な管理の困難さ:子供たちは都会に住んでいて、頻繁に実家を訪れることができない
- 経済的な問題:地方の実家は資産価値が低く、売却も困難
想像してみてください。夫婦で一緒に過ごした家、子供たちが育った家、そこで最期を迎えたいと願う親御様の気持ちはよく理解できますよね。
一方で、遠方に住む家族にとっては、高齢の親が一人で住み続けることへの心配も尽きません。
空き家として放置することのリスク
「実家を手放すのは難しいから、とりあえずそのままにしておこう」とお考えになる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、空き家として放置することには、想像以上のリスクがあります。
空き家が抱える具体的な問題
- 害虫の発生:管理されない家には害虫が繁殖しやすい
- 野生動物の住処に:猫や犬、場合によっては鳥などが住み着く
- 建物の劣化:人が住まない家は想像以上に早く傷む
- 自然災害による倒壊:台風や地震で建物が損壊する危険性
- 近隣への被害:倒壊した建物が隣家を傷つけたり、通行人が怪我をする可能性

責任問題の深刻さ
空き家が原因で第三者に被害が及んだ場合、所有者が責任を負うことになります。
実際に私が担当した案件では、アメリカに在住されている依頼者様のもとに、日本の行政から「実家が倒壊の危険がある」と連絡が入りました。海外に住んでいながら、日本の実家の管理責任を問われる——これは決して他人事ではありません。
地方に実家をお持ちの方、特に都会にお住まいの方にとって、定期的な管理は非常に困難です。しかし、放置することで取り返しのつかない事態を招く可能性があることを、ぜひご認識ください。
実家じまいを阻む心理的なハードル
実家じまいが進まない大きな理由の一つに、心理的なハードルがあります。
親御様の想い
「私はこの家で死にたい。施設には行きたくない」——これは多くの高齢者の方が抱く率直な想いです。
- お父様・お母様と一緒に過ごした思い出の場所
- 子供たちがここで育った
- この家で人生を終えることが自分の願い
こうした想いは、決して軽んじられるべきものではありません。
家族の想い
一方で、家族の側には別の悩みがあります:
- 一人暮らしの親を心配する気持ち
- 施設やワンルームマンションへの住み替えを提案したい
- でも、親の想いを無視することもできない
長男が小さかった頃の服、靴、おもちゃ——実家にはそうした思い出の品々が残っていることも多く、簡単に処分できないというのが現実ですよね。
専門家の視点
正直に申し上げると、専門家の立場からは業者に依頼して一括で処分することをお勧めするケースが多くあります。厳しい意見に聞こえるかもしれませんが、感情的なつながりが強すぎると、必要な判断ができなくなることもあるためです。
ただし、これはあくまで選択肢の一つです。ご家族の状況や想いによって、最適な方法は異なります。
相続で揉めないために知っておくべきこと
実家じまいのタイミングで最も注意が必要なのが、相続の問題です。
相続発生時の典型的なトラブル
親御様が亡くなった際、子供たちの間で意見が分かれることがよくあります:
- 長男:「実家は売却した方がいい」
- 次男:「売らずに残しておくべきだ」
- 長女:「私が住みたい」
このように、相続人それぞれの立場や考え方によって意見が対立し、話し合いが難航するケースは少なくありません。

売却時の税制優遇措置
もし売却をお考えの場合、相続発生から3か月以内に売却すると税制上の優遇措置を受けられるケースがあります。
ただし、この3か月という期間は意外と短く、あっという間に過ぎてしまいます。特に地方の不動産は買い手を見つけるのに時間がかかることが多いため、事前の準備が重要です。
親が元気なうちに話し合うことの重要性
相続後に家族間で揉めないためには、親御様が元気なうちに、家族全員で話し合っておくことが何よりも大切です。
- 実家をどうするか
- 誰が管理するか
- 売却するならどのタイミングか
- 思い出の品をどう整理するか
こうした話題は切り出しにくいかもしれませんが、みんなが話せるうちに整理しておくことで、将来のトラブルを防ぐことができます。
実家じまいに関わる専門家と費用
実家じまいを進めるには、多くの専門家の協力が必要になります。そして、想像以上に費用がかかることも理解しておく必要があります。
関わる専門家と手続き
- 行政:空き家として指導を受けた場合の対応
- 解体業者:建物の取り壊し
- 司法書士:相続登記などの名義変更手続き
- 不動産業者:売却の仲介
- 税理士:売却時の税金対応
解体費用の落とし穴
建物を解体する場合、費用は決して安くありません。さらに注意が必要なのがアスベスト問題です。
アスベスト(石綿)は、かつて国が認めていた建築資材ですが、現在は健康被害が明らかになっています。もし実家の建材にアスベストが使われていた場合、通常の解体費用の約3倍もの費用がかかることがあります。
経済的な現実
多くの場合、地方の実家は資産価値が低いのが現実です。
- 売却してもわずかな金額にしかならない
- 一方で、解体費用や各種手続き費用は確実にかかる
- 結果として、持ち出しになるケースも少なくない
「お金がかかるだけで、利益が出ない」——これが、実家じまいがなかなか進まない経済的な理由の一つです。
実家じまいを進めるための5つのステップ
それでは、実家じまいを円滑に進めるためには、どのようなステップを踏めばよいのでしょうか。
1. 家族全員で問題意識を共有する
まず、何が問題なのかを家族全員で共有することが出発点です。
- 空き家のリスク
- 管理の困難さ
- 経済的な負担
- 相続時のトラブルの可能性
親御様を含めて、現実的な問題点をオープンに話し合いましょう。
2. 親御様の想いをしっかり聴く
親御様が実家に対してどのような想いを持っているのか、じっくりと耳を傾けてください。
「この家で最期を迎えたい」という想いには、それぞれの人生の重みがあります。その想いを尊重しながら、現実的な解決策を一緒に探る姿勢が大切です。
3. 選択肢を整理する
実家じまいには、いくつかの選択肢があります:
- 売却:買い手が見つかれば、維持費の負担から解放される
- 解体して更地に:建物がない方が売れやすいケースもある
- 賃貸に出す:収益化できる可能性がある(管理が必要)
- 誰かが住む:家族の誰かが実家に住む
- 空き家バンクに登録:自治体の支援制度を活用する
それぞれのメリット・デメリットを整理し、ご家族の状況に合った選択肢を検討しましょう。
4. タイミングを見極める
実家じまいには、適切なタイミングがあります:
- 親御様が施設に入居するタイミング
- 相続発生後の3か月以内(税制優遇のため)
- 建物が大きく劣化する前
先延ばしにするほど、選択肢が狭まり、費用も増える可能性があります。
5. 専門家に相談する
実家じまいは、法律・税金・不動産など、多岐にわたる専門知識が必要です。ご家族だけで抱え込まず、早めに専門家にご相談されることをお勧めいたします。
司法書士は、相続登記や名義変更などの手続きはもちろん、関連する専門家(不動産業者、解体業者、税理士など)との橋渡し役としても機能いたします。ワンストップでご案内できる体制を整えている事務所も多くありますので、まずはご相談されてみてはいかがでしょうか。
まとめ
実家じまいについて、重要なポイントをまとめます。
- 実家じまいとは、親御様の実家を売却・解体などにより「畳む」こと
- 空き家のまま放置すると、管理困難・近隣トラブル・責任問題などのリスクがある
- 親御様の想いと家族の現実的な判断のバランスを取ることが難しい
- 相続発生後に揉めないよう、親が元気なうちに家族で話し合うことが重要
- 専門家への相談により、法律・税金・手続きなどを総合的にサポートしてもらえる
実家じまいは、単なる不動産の処分ではありません。家族の歴史や想い出と向き合い、親御様の人生を尊重しながら、現実的な判断をしていく——そんな難しいプロセスです。
だからこそ、一人で、あるいはご家族だけで抱え込まず、専門家の力を借りながら、最善の道を見つけていただきたいと思います。ご不安な点やご不明な点がございましたら、どうぞお気軽にレスター司法書士法人にご相談ください。
本記事の内容は、YouTube動画『POINT』でも解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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