皆様、こんにちは。レスター司法書士法人の日高憲一です。
「相続手続きって、どこに依頼したら一番安いんだろう?」
そんな疑問を抱えていませんか?実際、当事務所のYouTubeチャンネルのコメント欄にも、「ぼったくられた」「自分でもできるよ」「どこが安いの?」といった声が絶えません。
相続の手続きは、依頼先によって費用が大きく変わります。
また、費用だけでなく「何を解決したいのか」によっても、最適な依頼先は変わってきます。
ただ安く済ませたい方、家族間のトラブルをとにかく解決したい方、誰に頼めばいいかわからない方、それぞれで選択肢が異なるんです。
本日は、銀行・司法書士・税理士・弁護士・行政書士それぞれの役割と費用感を整理したうえで、
- 「結局どこが安いのか」
- 「本当に解決できるのはどこか」
- 「誰に頼むべきか」
について、20年近くの実務経験と2,000件の相続登記を担当してきた経験をもとに、できるだけわかりやすく解説いたします。
「自分の状況にはどれが当てはまるんだろう?」と迷っている方は、ぜひ最後までお読みください。きっと、自分に合った選択肢が見えてくるはずです。
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▶ あわせて確認:相続登記の費用はいくら?内訳と司法書士報酬の相場/沖縄で相続の相談はどこにする?相談先の使い分けと流れ
相続手続きの専門家、それぞれの役割とは
「相続の専門家」と一口に言っても、弁護士・税理士・司法書士・行政書士・銀行と、実にさまざまな窓口があります。それぞれが「何をしてくれるのか」を知らずに依頼すると、費用が無駄になったり、必要な手続きが漏れてしまったりすることがあります。
各専門家の役割は以下の4つの視点で整理できます。
- 弁護士:争いごと・裁判の専門家
- 税理士:相続税の専門家
- 司法書士:不動産の名義変更(相続登記)の専門家
- 行政書士:相続書類作成の専門家
順番に見ていきましょう。
1. 弁護士:争いごと・裁判の専門家
弁護士といえば「裁判・トラブルの専門家」というイメージを持たれている方が多いと思いますが、相続においてもまさにその通りです。
遺産分割協議(亡くなった方の財産を誰がどう分けるかを話し合うこと)で家族間の意見がまとまらない、兄弟間で揉めている、最終的に裁判になりそう——そういったケースで活躍するのが弁護士です。
費用の目安として、財産が1億円規模の案件で裁判まで発展した場合、弁護士費用は200万〜250万円程度になることもあります。
2. 税理士:相続税の専門家
税理士は、その名の通り「税金の専門家」です。相続においては相続税(亡くなった方の財産を受け継ぐ際にかかる税金)の申告・納付を担当します。
ただし、日本国民全員が相続税を支払うわけではありません。現在、相続税の申告が必要になるのは全体の約5%前後と言われています。
相続税を放置したり、誤った計算で申告したりすると、本来払わなくてよかった税金を多く払ってしまうこともあります。税理士に依頼することで「こういう手続きを活用すれば、1,000万円の税額が500万円に抑えられた」ということも実際にあります。費用の目安は財産額の1%程度が報酬として一般的です。
3. 司法書士:不動産の名義変更(相続登記)の専門家
司法書士は、不動産の名義変更(相続登記)を専門に扱います。
土地や建物には「この不動産は誰のものか」を公的に記録した登記簿(法務局という役所が管理する台帳)があります。親が亡くなって不動産を相続した場合、この登記簿上の名義を変更する手続きが必要です。これが「相続登記」です。
不動産は非常に大きな財産であるため、「誰のものか」を明確にしておかないと、住んでいる人と権利者が異なるといったトラブルが生じます。なお、2024年4月から相続登記が義務化されましたので、以前にも増して重要な手続きになっています。
財産が1億円規模の不動産がある場合、司法書士への報酬は約50万円前後(別途、登録免許税などの実費がかかります)が目安です。
4. 行政書士:相続書類作成の専門家
行政書士は、相続に必要な各種書類を作成する専門家です。戸籍を集めたり、遺産分割協議書(誰がどの財産を引き継ぐかを明記した書類)を作成したりする役割を担います。
ただし、行政書士にできるのは「書類の作成」までです。裁判の代理、税金の申告、不動産登記といった手続きは行政書士には行えません。
重要なのは、弁護士・税理士・司法書士は、行政書士が作れる書類もすべて作成できるという点です。つまり行政書士の業務は、他の専門家にも包含されています。書類作成に特化した専門家、いわば「書類のプロ」というポジションです。
「銀行に頼む」は実はいちばん高くなる?
「相続といえばまず銀行の窓口」と思っている方も多いのではないでしょうか。しかし、費用の観点からは銀行経由の相続手続きはいちばん高くなる可能性があります。
銀行は相続手続きの専門家ではなく、あくまで窓口(入り口)に過ぎません。実際の手続きは、弁護士・税理士・司法書士といった外部の専門家に丸ごとアウトソーシング(外部委託)しています。
問題は費用の構造にあります。
- 弁護士費用(裁判が必要な場合):約200万〜250万円
- 司法書士費用(不動産登記):約50万円
- 税理士費用(相続税申告):約100万円
- 銀行のコンサルティング料:財産額の2〜3%(1億円なら約200万〜300万円)
外部専門家への費用に加えて、銀行自身の「窓口コンサルティング料」として財産額の2〜3%が上乗せされます。財産が1億円あれば、それだけで200万〜300万円を銀行に支払うことになるわけです。
銀行は信頼性が高く、相談しやすい窓口ではあります。ただし、銀行は専門家ではなく、手続きはすべて外部に委託しているという実態を知ったうえで、費用対効果を判断することが大切です。
結局、どこが一番安いのか
「安くやりたい」という観点だけでいえば、答えは一択です。以下の2つが安く抑えるための考え方です。
- シンプルなケースなら「自分でやる」がもっとも安い
- 専門家に頼むなら「全体をまとめて任せられる専門家」を選ぶ
それぞれ解説します。
1. シンプルなケースなら「自分でやる」がもっとも安い
結論から言えば、自分でやれば費用はほぼゼロ(切手代・収入印紙代などの実費のみ)です。
以下のような条件が揃っている場合は、自分で手続きを進めることも十分に検討の余地があります。
- 財産が預貯金のみ(不動産なし)
- 相続人の人数が少なく、家族間で揉めていない
- 戸籍などの書類がすぐに集まる見通しがある
銀行の預金相続であれば、銀行窓口に数回足を運べば手続きを完了することができます。不動産についても、実は法務局で自分で登記申請を行うことは制度上可能です。
ただし、「自分でできると思って始めたら法務局に12回通うことになった」 というケースも実際にあります。手間と時間のコストも考えたうえで判断してください。
2. 専門家に頼むなら「全体をまとめて任せられる専門家」を選ぶ
複数の問題(不動産・税金・家族間の揉め事など)が絡み合っている場合、各専門家にバラバラに依頼するのは費用も手間も増える原因になります。
情報が分断され、対応に統一感がなくなり、結果的にコストが上がってしまうからです。
理想的なのは、全体を見渡してコーディネートしてくれる「窓口専門家」を一人見つけることです。
- 不動産の名義変更(相続登記):司法書士として自ら対応
- 裁判・調停が必要なケース:信頼できる弁護士に連携
- 相続税の申告が必要なケース:提携税理士に連携
- 不動産の売却が絡む場合:提携不動産業者に連携
この「全体窓口」の役割を担える専門家であれば、銀行のように高額なコンサルティング料を取ることなく、必要な手続きを整理・調整してくれます。費用を抑えながら、問題をまるごと解決できるのが最大のメリットです。
ただし、全体コーディネートができる事務所は多くありません。「自分の専門分野しか対応できない」という専門家も多いのが実態です。依頼する前に、「他の専門家と連携して全体を見てもらえますか?」と確認することをお勧めいたします。
「費用」より「解決できるか」で選ぶべきケース
費用の安さだけを追い求めると、かえって問題が長引いたり、余計なコストがかかったりすることがあります。トラブルや複雑な事情がある場合は「解決できるか」を優先基準にすることが大切です。
家族間の揉め事は、早めに第三者を入れると裁判を避けられる
「揉めている=裁判」と思われるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。むしろ、揉める前・揉めかけているタイミングで第三者(専門家)を入れることで、裁判を回避できるケースが多くあります。
裁判になれば2〜3年かかることもありますし、弁護士費用も相当な額になります。また、家族関係も修復が難しくなってしまいます。
中立・公平な第三者が「この場合はこういう手続きができます」「ここは折れて、ここは主張しましょう」と整理することで、家族の感情的なやり取りを避けながら穏やかに解決できることがあります。「感情が爆発する前に相談する」のがベストなタイミングです。
AIに聞いた情報を「確認」するために相談するのもアリ
最近は「ChatGPTに相続のことを聞いてみたら、こういう回答が出たんですが、本当ですか?」という形で相談に来られる方も増えています。
AIを使って事前に情報を整理してくることは、むしろ歓迎です。ある程度情報が整理された状態でご相談いただくと、専門家側も状況を把握しやすく、場合によっては相談・手続きのコストを抑えることにもつながります。「まずAIで大まかに調べてから、専門家に確認する」というアプローチは賢い使い方だと思いますよ。
依頼先別「できること×費用構造」早見表
費用を比較する前に押さえておきたいのは、依頼先ごとに「できること」が法律で決まっているという点です。できないことを頼んでしまうと、結局ほかの専門家への依頼が追加で発生し、費用がかさむ原因になります。まずは全体像を表で整理しましょう。
| 依頼先 | 主にできること | できないこと | 費用構造の目安 |
|---|---|---|---|
| 弁護士 | 遺産分割の交渉・調停・裁判の代理、書類作成全般 | 相続税申告(通常は税理士と連携) | 着手金+報酬金型。獲得額に応じて増える |
| 司法書士 | 相続登記、戸籍収集、法定相続情報一覧図の作成、遺産承継業務 | 揉めている場合の代理交渉、相続税申告 | 手続きごとの定額型が中心(報酬は事務所により異なる) |
| 税理士 | 相続税申告、準確定申告 | 相続登記、争いの代理交渉 | 遺産総額の0.5〜1%程度が目安 |
| 行政書士 | 戸籍収集、遺産分割協議書などの書類作成 | 相続登記、相続税申告、争いの代理交渉 | 書類ごとの定額型が中心 |
| 銀行・信託銀行 | 窓口としての取りまとめ | 法律・税務の実務(外部の専門家へ委託) | 最低100万円程度〜の手数料が一般的+各専門家の報酬が別途 |
表のとおり、同じ「相続手続き」でも費用の積み上がり方が依頼先ごとに異なります。特に銀行・信託銀行は、自行の手数料に加えて外部専門家の報酬が別途かかる「二階建て」の構造のため、前章で述べたとおり割高になりやすいのです。
▶ あわせて確認:司法書士と行政書士の違いとは?
ケース別・最適な依頼先フロー
「自分のケースはどこに頼めばいいのか」を、財産の内容と状況から逆算して整理します。
不動産があるなら、まず司法書士
遺産に不動産が含まれる場合、相続登記は避けて通れません。相続登記は令和6年(2024年)4月1日から義務化され、相続で不動産の取得を知った日から3年以内に申請しないと、正当な理由がない限り10万円以下の過料の対象になります。登記実務の中心は司法書士ですので、司法書士を起点にして、必要に応じて税理士・弁護士と連携してもらうのが効率的です。
相続税の申告が必要なら、税理士+司法書士の二人三脚
遺産総額が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合は、相続開始を知った日の翌日から10か月以内に相続税の申告が必要です。申告は税理士、不動産の名義変更は司法書士と役割が分かれますので、どちらか一方を窓口に決めて連携してもらうと、やり取りの重複が減り、費用も手間も抑えられます。
すでに揉めているなら、代理交渉ができるのは弁護士だけ
相続人の間で対立が表面化している場合、本人に代わって交渉できるのは弁護士だけです。司法書士・税理士・行政書士は揉めている相手との交渉を代理できません。ただし弁護士費用は高額になりがちですので、前章で述べたとおり「感情が爆発する前」に第三者を入れて、裁判までいかずに解決するのが費用面でも最善です。
預貯金のみ・書類だけなら「自分で」か行政書士
財産が預貯金のみで揉めていないなら、自分で手続きすれば専門家報酬はかかりません。かかるのは戸籍謄本1通450円、除籍謄本・改製原戸籍謄本1通750円といった書類の実費のみです。平日に役所や銀行へ通う時間が取れない方は、戸籍収集や遺産分割協議書の作成だけを行政書士や司法書士に任せるという選択肢もあります。
「そもそも誰に相談すべきか」から迷っている方へ
費用の前に「自分の悩みはどの専門家の守備範囲なのか」が分からない、という段階の方も多いはずです。悩み別の相談先の選び方は、別の記事で正直に解説していますので、あわせてご覧ください。
▶ あわせて確認:相続の相談先はどこがいい?悩み別に正直に解説
費用の「二重払い」を避ける3つのコツ
相続手続きの費用が想定より膨らむ典型パターンは、「同じ作業に二重に報酬を払ってしまう」ことです。次の3点を押さえるだけで、無駄な出費をかなり防げます。
1. 窓口をひとつに絞る
複数の専門家にバラバラに依頼すると、戸籍収集や財産調査といった共通の作業がそれぞれの報酬に重複して含まれることがあります。全体をコーディネートできる専門家をひとり決めて、そこから各専門家へ連携してもらうのが、二重払いを避ける一番の近道です。
2. 見積もりで「業務範囲」と「別途費用」を確認する
見積もりを取ったら、金額の大小より先に「どこまでの作業が含まれているか」「登録免許税などの実費や他士業への外注費は別途か」を確認してください。安く見えた見積もりに実費や連携費用が含まれておらず、総額では高くついた——というのはよくある失敗です。
3. まとめて任せるなら「パック総額」と「個別依頼の合計」を比較する
戸籍収集から預貯金の解約、不動産の名義変更までまとめて任せる「丸投げ(遺産承継・おまかせパック)」型のサービスもあります。含まれる範囲次第で、個別に依頼するより得になることも、逆に不要な作業まで含まれて割高になることもあります。丸投げした場合の費用相場と内訳は、別の記事で詳しく解説しています。
▶ あわせて確認:相続手続きの丸投げ費用はいくら?おまかせパック相場
相続手続きの費用に関するよくある質問
Q. 自分で手続きすれば、費用は本当にゼロですか?
専門家への報酬はゼロにできますが、実費は必ずかかります。戸籍謄本などの書類取得費が数千円程度、不動産があれば登録免許税(固定資産税評価額×0.4%)が、相続放棄をする場合は申述1人あたり収入印紙800円と郵便切手代がかかります。加えて、平日に役所や法務局へ足を運ぶ時間も見えないコストです。
Q. 相続手続きの費用は誰が払うのですか?
法律上の決まりはありません。実務では、遺産の中から支払う方法や、代表の相続人が立て替えて後で清算する方法が多く取られています。後々の揉め事を防ぐため、誰がいくら負担するかを遺産分割協議の際に決めて書面に残しておくことをお勧めいたします。
Q. 銀行から勧められた相続手続きサービスは断ってもいいですか?
もちろん断って構いません。亡くなった方の預金の解約・払い戻しの手続き自体は、銀行窓口で無料で行えます。銀行が案内する「遺産整理業務」などの有料サービスは、それとは別のオプションです。内容と費用を確認したうえで、必要かどうかを冷静に判断してください。
Q. 相続人が県外にいる場合、費用は余計にかかりますか?
沖縄では、進学や就職を機に本土へ移られた方が相続人になるケースが非常に多く、トートーメー(位牌)の継承と実家の不動産が同時に問題になることも珍しくありません。もっとも、遺産分割協議書への署名押印や必要書類のやり取りは郵送やオンラインで完結できるため、県外の相続人が沖縄へ何度も帰省する必要はほとんどありません。交通費をかけずに進める段取りも含めて、お気軽にご相談ください。
まとめ
- もっとも安く済ませたい場合は、シンプルなケースに限り自分で手続きを行うのが最善。実費のみで完結する可能性がある
- 銀行経由の手続きは費用が高くなりやすい。専門家への報酬に加え、銀行のコンサルティング料(財産額の2〜3%)が上乗せされるため
- 弁護士・税理士・司法書士・行政書士はそれぞれ専門領域が異なる。自分のケースに必要な専門家を選ぶことが大切
- 複数の問題が絡む場合は、全体をまとめてコーディネートしてくれる専門家を一人見つけるのが、費用・解決の両面でもっとも有利
- 家族間のトラブルは、感情が爆発する前に第三者(専門家)を介入させると裁判を回避できる可能性が高い
「自分のケースはどれに当てはまるのか」「専門家に頼むべきかどうか」で迷われている方は、ぜひ一度ご相談ください。ご不安な点やご不明な点がございましたら、どうぞお気軽にレスター司法書士法人にご相談ください。
本記事の内容は、YouTube動画『相続手続き結局どこが安い?銀行vs司法書士vs税理士vs行政書士』でも解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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