皆様、こんにちは。レスター司法書士法人の日高憲一です。
「取引先や銀行から会社の登記簿謄本を出してほしいと言われたが、法務局に行く時間がない」「ネットで取れると聞いたが、PDFで取れるものと郵送で届くものの違いが分からない」とお困りの方は多いのではないでしょうか。
会社の登記簿謄本は、インターネットで請求できます。ただし、オンラインで手に入る情報には「公的な証明書」と「内容を確認するための登記情報」の2種類があり、提出先に出せるのは前者だけです。ここを取り違えると、せっかく取得したものが受け付けてもらえず、取り直しになってしまいます。
本日は、商業登記簿謄本(登記事項証明書)をオンラインで請求する手順、登記情報提供サービスとの違い、現在の手数料と受付時間、提出先に合わせた証明書の選び方まで解説いたします。
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結論|提出用は「オンライン請求→紙で受け取る」
結論から申し上げますと、取引先や金融機関、役所に提出する登記簿謄本が必要な場合は、オンラインで交付を請求し、紙の証明書を郵送または窓口で受け取る方法を選びます。
現在、会社の登記はすべてコンピュータで管理されているため、昔の「登記簿謄本」にあたるものは「登記事項証明書」として交付されています。提出先が「登記簿謄本」と言う場合も、実際には登記事項証明書のことを指しているのが通常です。
「証明書のオンライン請求」と「登記情報提供サービス」の違い
インターネットで会社の登記を見る方法は2つあります。名前が似ていますが、役割がまったく異なります。
| 項目 | 登記事項証明書のオンライン請求 | 登記情報提供サービス |
|---|---|---|
| 手に入るもの | 法務局が発行する紙の証明書 | 画面で見る・PDFで保存できる登記情報 |
| 提出先に出せるか | 出せる(公的な証明書) | 原則として出せない(証明文・公印なし) |
| 受け取り方 | 郵送または登記所の窓口 | その場で画面表示・PDF保存 |
| 手数料(1通・1件) | 郵送520円、窓口受領490円 | 全部事項330円 |
| 向いている用途 | 金融機関・取引先・役所への提出 | 取引先の登記内容の確認、社内の確認 |
法務局の案内でも、登記情報提供サービスは登記の内容をパソコンで確認するサービスであり、登記事項証明書は交付されないと明記されています。登記情報提供サービスの公式サイトも、提供される情報は閲覧と同等のもので、証明文や公印は付かないと説明しています。
PDFで足りる場面・足りない場面
取引先の代表者や本店所在地を確認したい、自社の役員の就任・重任日を確かめたいといった「見るだけ」の用途なら、登記情報提供サービスのPDFで十分です。手数料も安く、すぐに内容が分かります。
一方、融資の申込み、口座開設、許認可の申請、入札参加資格の申請など、提出先が「証明書」を求める場面ではPDFは使えません。迷ったときは、提出先に「原本の証明書が必要か」を確認するのが確実です。なお、登記情報提供サービスには、一部の行政機関への申請で証明書の代わりに使える「照会番号」の仕組みもありますが、使えるかどうかは提出先の行政機関によりますので、事前にご確認ください。
登記事項証明書の種類|提出先の指定に合わせて選ぶ
会社の登記事項証明書には、主に次の4種類があります(法務省「商業・法人登記Q&A」)。
- 履歴事項証明書:現在の登記事項に加え、請求日の3年前の日が属する年の1月1日以降に抹消された事項も載る。従来の登記簿謄本に相当し、提出先から最もよく求められる
- 現在事項証明書:現在効力のある登記事項などを記載したもの
- 閉鎖事項証明書:閉鎖された登記記録の事項を記載したもの。本店移転前の記録や、古い役員の経歴を確認するときに使う
- 代表者事項証明書:代表者の代表権に関する現在の事項を記載したもの。いわゆる資格証明書の代わりに使える
提出先が「登記簿謄本」「全部事項証明書」とだけ指定している場合は、履歴事項全部証明書を求めていることが多いものの、確実ではありません。種類・通数に加えて、「発行後◯か月以内」といった期限の指定がないかもあわせて確認しておくと、取り直しを防げます。期限は法律で一律に決まっているものではなく、提出先ごとのルールです。
本店移転や役員変更の直後は特に注意
管轄の異なる地域へ本店を移転した場合、新しい本店所在地の登記記録には移転前の変更の経過がすべて引き継がれるわけではありません。役員の変更経過などを示す必要がある場合は、移転前の登記所の閉鎖事項証明書もあわせて求められることがあります。沖縄県内での移転であれば、商業登記は県内全域が那覇地方法務局の本局の管轄ですので、この点は問題になりにくいといえます。本店移転と登記の関係は本店移転登記の解説記事で詳しく説明しています。
オンライン請求の手順
オンライン請求は、登記・供託オンライン申請システムの「かんたん証明書請求」を使えば、専用ソフトなしでWebブラウザから手続きできます。流れは次のとおりです。
- 申請者情報を登録する:登記・供託オンライン申請システムで、氏名・連絡先などを登録してIDとパスワードを取得する
- 請求する会社を特定する:会社名(商号)と本店所在地、または会社法人等番号で検索する
- 証明書の種類と通数を選ぶ:履歴事項全部証明書、代表者事項証明書など、提出先の指定どおりに選ぶ
- 受け取り方法を選ぶ:郵送(送付先を入力)か、登記所の窓口受取か
- 手数料を電子納付する:インターネットバンキングやPay-easy(ペイジー)対応ATMで納付する。収入印紙は不要
- 証明書を受け取る:郵送なら指定先に届き、窓口受取なら納付後に登記所で受け取る
会社の特定で間違えやすいところ
会社名だけで検索すると、同じ名前の会社が複数見つかることがあります。本店所在地まで一致しているか、可能であれば会社法人等番号(12桁)で特定すると確実です。会社法人等番号は、手元の登記事項証明書や、国税庁の法人番号(13桁)の下12桁から確認できます。
取引先や他社の証明書も取れます
登記事項証明書は、会社の関係者でなくても誰でも請求できます。取引開始前に相手方の登記を確認したい場合も、同じ手順で請求できます。
手数料と受付時間(2026年9月時点)
法務省の案内による現在の手数料は次のとおりです。
| 請求方法 | 登記事項証明書(1通・50枚まで) | 会社の印鑑証明書(1通) |
|---|---|---|
| オンライン請求・郵送受取 | 520円 | 450円 |
| オンライン請求・窓口受取 | 490円 | 420円 |
窓口や郵送で書面により登記事項証明書を請求する場合は、法務局の案内で1通600円とされており、オンライン請求のほうが安くなります。手数料は改定されることがありますので、請求の前に最新の案内を確認してください。
登記・供託オンライン申請システムの利用時間は、公式サイトでは平日8時30分から23時まで、休日8時30分から18時まで(12月29日から1月3日を除く)とされています。ただし、法務局の業務取扱時間は平日8時30分から17時15分で、窓口の利用は原則9時から17時の対応時間内と案内されています。法務局の案内では17時15分以降に送信した請求は翌業務日の受付として扱われます。夜間や休日に請求できても、処理が始まるのは翌業務日です。急ぎの場合は、平日の日中に請求して窓口で受け取る方法が確実です。
会社の印鑑証明書もオンラインで請求できる?
会社の印鑑証明書もオンラインで請求できますが、登記事項証明書と違って、請求の際に電子証明書による電子署名が必要です。法務省の案内では、商業登記電子証明書やマイナンバーカードの公的個人認証の電子証明書などが挙げられています。電子証明書の準備がない場合は、登記所の窓口で印鑑カードを提示して請求するのが一般的です。
沖縄の会社の証明書を取る場合
那覇地方法務局の管轄区域一覧では、沖縄県内の商業・法人登記は本局が一括して管轄し、沖縄・名護・宮古島・石垣の各支局と宜野湾出張所は証明書の交付や印鑑・電子認証の事務を取り扱っています。窓口で受け取る場合は、最寄りの登記所を選べます。
登記事項証明書は、全国の登記所の間で情報がつながっているため、県外の会社の証明書を沖縄の登記所で受け取ることも、沖縄の会社の証明書を県外で受け取ることもできます。離島にお住まいの方は、郵送受取を選べば登記所へ出向く必要がありません。郵送の場合は配達の日数を見込み、提出期限から逆算して請求してください。
証明書を取ったら確認しておきたいこと
せっかく取得した証明書は、提出前に次の点を見ておくと安心です。
- 登記上の就任・重任日を定款の任期規定と照合し、重任の登記漏れがないか
- 本店所在地や代表者の住所が実態と合っているか
- 事業目的が、これから始める事業や許認可の内容をカバーしているか
- 提出先が指定した種類・通数・発行日の条件を満たしているか
役員の任期そのものは登記事項ではありません。登記簿の就任・重任日だけで判断せず、定款の任期規定や事業年度、株主総会の日程も照合してください。任期満了後に変更登記をしていないと、過料の対象になり得ます。詳しくは役員変更登記の期限の解説記事をご覧ください。
よくある質問
オンラインで請求した証明書は、いつ届きますか?
郵送受取の場合、手数料の納付が確認された後に登記所から発送されます。到着までの日数は、請求の時間帯や郵便事情によって異なりますので、日数に余裕を持って請求してください。急ぎの場合は窓口受取を選ぶと、納付後に登記所で受け取ることができます。
登記情報提供サービスのPDFを印刷して提出してもよいですか?
提出先が証明書を求めている場合は使えません。PDFには証明文や公印が付かないためです。提出先が「内容が分かればよい」としている場合に限って使えますので、事前に確認してください。
解散・清算した会社の証明書も取れますか?
清算が結了して登記記録が閉鎖された会社は、閉鎖事項証明書で内容を確認できます。会社の解散から清算結了までの流れは会社解散の手続きの解説記事で説明しています。
登記申請のたびに登記事項証明書を添付する必要がありますか?
不動産登記などでは、申請書に会社法人等番号を記載することで、会社の登記事項証明書の添付を省略できる扱いが広がっています。法務局の記載例でも、法人が申請人となる場合は会社法人等番号を記載するよう案内されています。提出先が法務局以外の場合は、その提出先のルールに従ってください。
まとめ
商業登記簿謄本のオンライン取得について解説してまいりました。要点を整理いたします。
- 提出用の登記簿謄本は、オンラインで請求し紙の証明書を郵送か窓口で受け取る
- 登記情報提供サービスのPDFは確認用で、証明書としては提出できないのが原則
- 提出先の多くが求めるのは履歴事項全部証明書。種類・通数・発行日の条件を事前に確認する
- オンライン請求の手数料は1通520円(郵送)・490円(窓口受取)で、窓口の書面請求600円より安い
- システムは夜間・休日も使えるが、平日17時15分以降の送信は翌業務日の受付
- 沖縄の会社の証明書は、県内の本局・支局・宜野湾出張所のほか全国の登記所でも受け取れる
証明書を取得した機会に、役員の任期や本店の表示など、登記の内容が実態と合っているかもあわせて確認されることをお勧めします。
レスター司法書士法人では、窓口を一つにしてワンストップで対応しております。初回のご相談は無料で承っておりますので、会社の登記の内容や手続きでご不安な点がございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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