役員変更登記の期限は変更から2週間以内|重任でも必要?過料リスク・費用・自分でやる手順を解説

役員変更登記の期限

皆様、こんにちは。レスター司法書士法人の日高憲一です。

「役員変更の登記は、いつまでにすればいいのだろう?」「役員は誰も変わっていないのに、登記が必要だと言われた」──会社を経営されている方から、このようなご相談をよくいただきます。

役員変更登記の期限は、原則として変更が生じた日から2週間以内と会社法で定められています。しかも、同じ方が役員を続ける「重任」の場合でも登記は必要です。この点をご存じないまま何年も放置してしまい、100万円以下の過料(かりょう)の通知が届いて慌てて相談に来られるケースは、決して珍しくありません。

特に沖縄の中小企業はご家族だけで経営されている会社が多く、任期の管理が漏れやすい実情があります。

本日は、役員変更登記の期限と放置した場合のリスク、かかる費用、そしてご自身で手続きする場合の手順について解説いたします。

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目次

役員変更登記の期限は「変更から2週間以内」

結論から申し上げますと、役員変更登記の期限は変更が生じた日から2週間以内です。会社法(e-Gov法令検索)の第915条第1項に、次のように定められています。

「会社において第911条第3項各号又は前三条各号に掲げる事項に変更が生じたときは、2週間以内に、その本店の所在地において、変更の登記をしなければならない。」

取締役や監査役の就任・退任・辞任・重任は、いずれもこの「変更」に当たります。つまり、役員に関する動きがあったら2週間以内に法務局へ申請する、というのが会社法上の義務です。

期限の起算日はいつから?

2週間の数え方は、「変更が生じた日」の翌日から起算するのが原則です。例えば新しく取締役が就任する場合は、株主総会での選任と本人の就任承諾がそろった日が「変更が生じた日」となり、その翌日から2週間をカウントします。任期満了により重任する場合は、定時株主総会の日が基準になるのが一般的です。

ただし、起算日の判断は選任決議と就任承諾のタイミングなど個別の事情により異なる場合があります。迷われた場合は、早めに申請してしまうのが安全です。

期限を過ぎても登記申請はできる

「2週間を過ぎてしまったから、もう申請できないのでは」とご心配される方もいらっしゃいますが、期限を過ぎても登記申請そのものは受け付けてもらえます。

ただし、後述する過料のリスクは放置期間が長くなるほど高まると考えられています。気づいた時点で、できるだけ早く申請することが何より重要です。

「重任」の盲点|役員が変わらなくても登記は必要

役員変更登記で最も見落とされやすいのが、同じ方が役員を続ける場合(重任)でも登記が必要という点です。

役員には任期があります。任期が満了すると、たとえ同じ方がそのまま続投する場合でも、法律上はいったん退任して再び選任された扱いになります。そのため「任期満了→再任」のたびに重任の登記をしなければなりません。法務省も「役員の変更の登記を忘れていませんか? 再任の方も必要です」(法務省)という特設ページを設けて注意を呼びかけているほど、忘れられやすい登記なのです。

役員の任期は原則、取締役2年・監査役4年

株式会社の役員の任期は、原則として次のとおりです。

  • 取締役:原則2年(選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで)
  • 監査役:原則4年

つまり、何も対策をしていない株式会社であれば、少なくとも2年に1回は役員変更(重任)の登記が発生する計算になります。

非公開会社は任期を最長10年まで伸ばせる=「伸ばしたまま忘れる」罠

株式の譲渡制限がある会社(非公開会社)は、定款で定めることにより、取締役・監査役の任期を最長10年まで伸長できます。沖縄の中小企業の大半はこの非公開会社に当たり、設立時に「登記の手間を減らすため」任期を10年にしている会社が少なくありません。

ところが、ここに大きな落とし穴があります。10年に1回しか登記のタイミングが来ないため、10年後には誰もそのことを覚えていないのです。設立を手伝ってくれた専門家との付き合いが途切れていたり、当時の書類が見当たらなかったりして、任期満了に気づかないまま何年も経過してしまうケースを、当事務所でも数多く拝見してきました。

ご自身の会社の役員任期は、定款と登記事項証明書(登記簿謄本)を突き合わせれば確認できます。「最後に法務局で手続きしたのはいつだったか思い出せない」という方は、一度確認されることをお勧めいたします。

当事務所の解決事例|定款変更のご依頼から役員の任期切れが見つかったケース

会社の目的(事業内容)を変更したいというご依頼をいただいた際、前提として登記簿と定款を確認したところ、役員の任期がすでに満了しており、重任の登記がされないまま経過していることが判明しました。あわせて、定款も設立当時のまま現在の法律や会社の実態に合っていない状態でした。

そのまま放置すれば過料のリスクがあることをご説明し、当初ご依頼の目的変更登記とあわせて、役員の重任登記と定款の整備をまとめて行いました。お客様からは「自分たちでは全く気づいていなかった。指摘してもらえて助かった」とのお言葉をいただいています。別の手続きのご相談をきっかけに任期切れが見つかることは多く、登記のご依頼の際は全体を点検させていただいております。

役員変更登記を放置する3つのリスク

「登記をしなくても、会社の営業には困らないのでは」と思われるかもしれません。しかし、放置には次の3つのリスクがあります。

1. 100万円以下の過料(代表者個人に科される)

登記を怠った場合、会社法第976条に基づき100万円以下の過料の対象になります。ここで注意していただきたいのは、過料は会社ではなく代表者個人に科されるという点です。裁判所から代表者のご自宅に通知が届くため、そこで初めて登記漏れに気づく方もいらっしゃいます。

実際にいくらの過料が科されるかは、放置していた期間などの個別事情を踏まえて裁判所が判断します。数万円程度にとどまる例が多いといわれていますが、あくまで個別判断であり、放置期間が長いほど金額が大きくなる傾向があると考えられています。

2. 12年間放置すると「みなし解散」の対象に

株式会社の場合、最後の登記から12年間何の登記もされていないと、「休眠会社」として法務大臣の公告・通知の対象になります。通知から2か月以内に「まだ事業を廃止していない」旨の届出か必要な登記をしないと、解散したものとみなされてしまいます(会社法第472条)。

任期を10年に伸長している会社が重任登記を1回飛ばすと、あっという間に12年が経過します。「実際に営業している会社が、登記を忘れていただけで解散扱いになる」という事態は現実に起きていますので、決して他人事ではありません。

3. 融資・取引・信用への影響

会社の登記事項証明書は、誰でも取得できます。金融機関から融資を受けるとき、公共工事の入札に参加するとき、新しい取引先と契約するとき──相手は必ず登記を確認します。

そこで役員の任期が何年も切れたままになっていれば、「法律で決められた手続きを守れない会社」という印象を与えかねません。融資や取引の場面で急いで是正しようとしても、登記の完了までには時間がかかります。信用は、日頃の管理の積み重ねです。

代表取締役の住所変更も「2週間以内」の登記事項

意外と知られていませんが、代表取締役の住所は登記事項です。つまり、代表者がご自宅を引っ越しただけでも、変更から2週間以内に住所変更の登記をしなければなりません。

役員の交代と違って社内で意識されるきっかけがないため、引っ越しから何年も経ってから気づくケースが目立ちます。こちらも放置すれば過料の対象になり得ますので、代表者の転居があったときは会社の登記もセットで思い出していただきたいところです。

当事務所の解決事例|代表取締役の住所変更登記を忘れていたケース

代表取締役の方がご自宅を引っ越された後、住所変更の登記が必要なことをご存じなく、約2か月が経過してからご相談いただいたケースがありました。住所の変更も2週間以内の登記義務があり、怠ると100万円以下の過料の対象になり得ることをご説明し、速やかに変更登記を申請しました。

このケースでは、結果として過料が科されることなく手続きを完了できました。ただし、過料の有無や金額は裁判所の個別判断であり、「2か月程度なら大丈夫」と保証できるものではありません。1〜2年単位で放置してしまうとリスクは確実に高まりますので、気づいた時点でできるだけ早くご対応いただくことをお勧めしています。

役員変更登記にかかる費用

役員変更登記の費用は、「必ずかかる実費(登録免許税)」と「専門家に依頼した場合の報酬」の2つに分かれます。

登録免許税は1万円(資本金1億円超の会社は3万円)

役員変更登記の登録免許税は、次のとおりです。

  • 資本金の額が1億円以下の会社:1万円
  • 資本金の額が1億円を超える会社:3万円

これは申請1件あたりの金額ですので、例えば取締役3名の重任と監査役1名の就任を1回の申請でまとめて行っても、資本金1億円以下の会社であれば1万円です。沖縄の中小企業のほとんどは資本金1億円以下ですので、実費は1万円と考えていただいてよいでしょう。

司法書士に依頼した場合の報酬相場

司法書士の報酬は自由化されており、事務所により異なります。役員変更登記(重任など標準的なケース)であれば、おおむね1万円台〜4万円程度が一つの目安といわれていますが、役員の人数、就任・辞任・重任の組み合わせ、株主総会議事録の作成をどこまで任せるか、定款の整備を伴うかどうかで変わってきます。

依頼を検討される際は、「登記申請だけの費用なのか、議事録などの書類作成まで含んだ費用なのか」を確認されると、事務所ごとの比較がしやすくなります。当事務所では、お見積りを含めて初回のご相談を無料で承っております。

役員変更登記を自分でやる手順【3ステップ】

役員変更登記は、必ず司法書士に依頼しなければならないものではなく、ご自身で申請することも可能です。標準的な重任のケースを例に、手順を正直にご紹介します。

STEP1:株主総会で選任を決議し、議事録を作成する

役員の選任(重任を含む)は、株主総会の決議事項です。定時株主総会で役員の選任を決議し、その内容を記載した株主総会議事録を作成します。小規模な会社では株主総会を書面上開いた記録がない場合も多いのですが、登記申請には議事録が必要ですので、この機会にきちんと作成しましょう。

STEP2:必要書類をそろえる

標準的な役員変更登記で必要になる書類は、次のとおりです。

  1. 株式会社変更登記申請書:法務局のホームページから様式を入手できます
  2. 株主総会議事録:選任決議の内容を記載したもの
  3. 株主リスト:議決権上位の株主を記載した書面(平成28年から添付が義務化されています)
  4. 就任承諾書:新任・重任の役員が就任を承諾したことを証する書面(議事録の記載で援用できる場合もあります)
  5. 印鑑証明書・本人確認証明書:新任役員の場合など、ケースに応じて必要になります

申請書の様式や記載例は、法務局「商業・法人登記の申請書様式」で公開されています。役員変更の類型別に記載例がありますので、ご自身で申請される方は必ず確認してください。

STEP3:法務局へ申請する(窓口・郵送・オンライン)

書類がそろったら、会社の本店所在地を管轄する法務局へ申請します。沖縄県内の会社の商業登記は那覇地方法務局(本局)が取り扱っており、窓口への持参のほか、郵送やオンラインでも申請できます。

ご自身で申請する場合の注意点として、書類に不備があると法務局から「補正」の連絡が入り、平日に対応する必要があります。特に株主リストの添付漏れや、就任承諾書の扱い、議事録の記載不備は補正になりやすいポイントです。時間に余裕をもって、2週間の期限から逆算して準備を始めてください。

沖縄の中小企業で「任期切れ」が起きやすい理由

当事務所は那覇市で商業登記のご相談をお受けしていますが、沖縄の会社には任期切れが起きやすい事情があると感じています。

  • 家族経営の会社が多い:株主も役員もご家族だけのため、株主総会を開く習慣がなく、任期を意識するきっかけがない
  • 設立時に任期を10年にしている:登記の手間を減らすための工夫が、かえって「10年後に誰も覚えていない」状態を生む
  • 登記の管理が社長お一人の頭の中にある:総務・法務の担当者を置ける規模ではないため、社長が忘れれば会社ごと忘れてしまう

そして、任期切れが発覚するのは多くの場合、融資・事業承継・相続といった「会社の節目」です。例えば会社を次の世代へ引き継ぐ準備を始めた途端、何年分もの登記漏れが見つかり、承継のスケジュールに影響することがあります。事業承継をお考えの方は、沖縄の事業承継の進め方を解説した記事もあわせてご覧ください。

さらに深刻なのは、社長が登記を管理したまま亡くなってしまうケースです。会社の登記がどうなっているのか、ご家族が誰も把握しておらず、相続手続きと会社の手続きが同時に押し寄せることになります。社長が亡くなった場合の会社と家族の相続については別の記事で詳しく解説していますが、日頃から登記を最新の状態に保っておくことが、ご家族への何よりの備えになります。

よくある質問

役員が誰も変わっていなくても、登記は必要ですか?

任期が満了していれば必要です。同じ方が続投する場合でも、法律上はいったん退任して再び選任された扱い(重任)になるため、任期満了のたびに重任の登記をしなければなりません。

ご自身の会社の任期がいつ満了するかは、定款の任期の定めと、登記事項証明書に記載された役員の就任日(重任日)から確認できます。「そもそも定款が見当たらない」という場合も、再整備の方法がありますのでご相談ください。

期限の2週間を過ぎてしまいました。今からでも申請できますか?

申請できます。期限を過ぎたからといって登記が受け付けられなくなることはありません。

ただし、放置期間が長くなるほど過料のリスクは高まると考えられますし、12年間登記がないとみなし解散の対象にもなります。気づいた今が、最も傷の浅いタイミングです。すぐに準備を始めることをお勧めいたします。

過料は実際いくらぐらい科されるのですか?

法律上の上限は100万円以下ですが、実際の金額は放置期間などの事情を踏まえて裁判所が個別に判断します。数万円程度にとどまる例が多いといわれる一方、長期間の放置では金額が大きくなる傾向があるとされています。

なお、過料は代表者個人に科されるもので、会社の経費として処理することは難しい性質のお金です。「いくらになるか」を心配するより、科されない状態を保つことが一番の対策です。

任期を10年に伸ばせば、登記の手間はなくなりますか?

登記の頻度は減りますが、なくなりはしません。10年に1回は重任登記が必要ですし、その1回を忘れるとみなし解散まで一直線という怖さもあります。

また、任期を長くすると、途中で役員を退任させたい場合に紛争のもとになるなどのデメリットも指摘されています。任期の設計は会社の実情(ご家族だけの会社か、外部の役員がいるか等)によって最適解が異なりますので、伸長をご検討の際は専門家にご相談いただくことをお勧めします。

まとめ

役員変更登記の期限について解説してまいりました。要点を整理いたします。

  • 期限は変更が生じた日から2週間以内(会社法915条)。就任・退任だけでなく重任や代表者の住所変更も対象
  • 同じ人が続投する「重任」でも登記は必要。任期は取締役2年・監査役4年が原則で、非公開会社は最長10年に伸長可能
  • 放置すると100万円以下の過料(代表者個人宛て)の対象になり、12年間登記がないとみなし解散のリスクもある
  • 費用は登録免許税1万円(資本金1億円超は3万円)+司法書士に依頼する場合の報酬(事務所により異なる)
  • 自分での申請も可能。ただし議事録・株主リストなどの書類準備と平日の補正対応が必要になる

役員変更登記は、1回ごとの手続きは決して大きなものではありません。しかし「忘れやすく、忘れたときのダメージが大きい」という厄介な性質があります。任期の管理まで含めて専門家に任せてしまうのも、経営に集中するための一つの選択肢です。

レスター司法書士法人では、窓口を一つにしてワンストップで対応しております。役員変更登記はもちろん、「うちの会社、任期が切れていないか不安」という段階のご相談も歓迎です。初回のご相談は無料で承っておりますので、ご不安な点やご不明な点がございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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監修者 司法書士 日高憲一

この記事の監修者

日高 憲一(レスター司法書士法人 代表社員司法書士)

沖縄県名護市出身。那覇市壺川で開業以来、相続登記・家族信託・渉外登記・事業承継など沖縄の登記・法務案件を幅広く手がける。実務経験20年・相続案件実績2,000件。

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