# 定期預金が相続を地獄にする理由とは?今すぐ確認すべき3つのポイント
皆様、こんにちは。レスター司法書士法人の日高健一です。
「定期預金は安心・安全な資産」——そう信じて、コツコツと積み上げてこられた方も多いのではないでしょうか。親世代、あるいは団塊の世代と呼ばれる方々にとって、定期預金はまさに”守り神”のような存在でした。老後の備えとして、子どもたちへの財産として、大切に守り続けてきた資産です。
しかし、相続の現場に20年・約2,000件携わってきた経験から率直にお伝えします。定期預金は、相続が始まった瞬間に「現金として使えない資産」に変わってしまう可能性があります。
「銀行に行って、家族ですと言えば解約できるんじゃないの?」——そう思われる方が非常に多いのですが、残念ながら、そう簡単にはいかないのが現実です。
本日は、定期預金が相続を複雑にしてしまう理由と、定期預金以外にも見落とされがちな「デジタル遺産」の問題、そして今からできる具体的な対策について解説いたします。
なぜ定期預金は相続で使えなくなるのか
「定期預金があれば安心」と思っていたのに、いざ相続となると自由に引き出せない——この現実を知らずに困り果てるご家族が後を絶ちません。なぜこうなってしまうのか、その理由は以下の2つです。
- 銀行の解約手続きが非常に煩雑だから
- 相続人全員の同意が必要で、一人でも欠けると手続きが止まるから
それぞれ解説します。
1. 銀行の解約手続きが非常に煩雑だから
「家族ですが、定期預金を解約したいです」と銀行の窓口に伝えると、その場では解約できません。銀行が定める書類を一式揃えて初めて手続きが進みます。
メガバンク、地方銀行など、銀行によって求められる書類や手順も異なります。複数の金融機関に定期預金を持っていれば、その数だけ別々の手続きが必要になります。これが非常に手間のかかる作業なのです。
「書類を揃えれば解約できるんでしょ?」と思われるかもしれません。確かに、書類さえ整えば手続きは進みます。しかし問題は、その書類を揃えるために相続人全員の協力が必要という点にあります。
2. 相続人全員の同意が必要で、一人でも欠けると手続きが止まるから
定期預金を解約するには、相続人全員の同意と署名・押印が原則として必要です。これが現場では大きな壁になります。
たとえばこんなケースを想像してみてください。
お父さんが亡くなり、葬儀代として100万円が必要になりました。「お父さんの定期預金があるから大丈夫」と思っていたところ、相続人であるお兄さんが手続きに反対したり、兄弟の一人と連絡が取れなかったりするとどうなるでしょうか。
手続きは止まります。定期預金は動かせません。
さらに深刻なのは、相続税の支払い期限(相続開始から10ヶ月以内)があるケースです。不動産などの財産があって相続税が発生している場合、現金で納付しなければなりません。しかし定期預金が動かせなければ、誰かが立て替えるしかなくなります。
家族の誰かが立て替えた場合、「後で手数料を払え」「いや、家族なんだから返さなくていいだろう」といった争いが生まれ、相続をきっかけにした家族の亀裂につながっていきます。こうした泥沼のトラブルを、これまで何度も目の当たりにしてきました。
- 葬儀代(100万円前後)が必要なのに定期預金を引き出せない
- 相続税の納付期限(10ヶ月以内)に間に合わない
- 相続人の一人が行方不明・連絡不通で手続きが止まる
- 一人が立て替えたことで家族間の金銭トラブルに発展する
定期預金だけじゃない!見落としやすい「デジタル遺産」問題
定期預金の問題だけでなく、最近はデジタル遺産と呼ばれる、スマートフォンやパソコン上に存在する財産が見落とされるケースも増えています。
たとえば以下のようなものです。
- ネット証券の口座(ログイン情報が分からず存在自体に気づかない)
- 航空会社のマイレージ(世界旅行ができるほど貯まっていても、家族が知らなければ有効期限切れで消滅)
- その他、デジタルサービス上に蓄積された資産
マイレージが10万円分以上の価値を持っていても、家族がその存在を知らなければ有効期限が切れて消えてしまいます。これは決して珍しい話ではありません。
デジタル資産の問題は「存在を知らない」「ログインできない」という2点に集約されます。資産があっても、情報が共有されていなければ意味がないのです。
今からできる3つの対策
では、どうすれば良いのでしょうか。対策は以下の3つです。
- 元気なうちに定期預金を解約しておく
- 財産情報(デジタル資産含む)を家族と共有する
- 専門家を活用して「家族の健康診断」を行う
順番に見ていきましょう。
1. 元気なうちに定期預金を解約しておく
最も確実な対策の一つは、認知症になる前、判断能力がしっかりある今のうちに定期預金を解約しておくことです。
認知症になると、本人の財産は原則として凍結されてしまいます。定期預金どころか普通預金も動かせなくなるケースがあります。「まだ大丈夫」と思っているうちに手を打つことが大切です。
就活(終活)の一環として、定期預金の解約を前向きに検討されることをお勧めいたします。
2. 財産情報(デジタル資産含む)を家族と共有する
定期預金の残高だけでなく、ネット証券のログイン情報、マイレージの会員番号・パスワードなど、デジタル資産を含む財産情報を家族と共有しておきましょう。
「親にそんな話をするタイミングが難しい」とお感じの方も多いと思います。タイミングとしては、以下のような機会を活用されると話しやすいかもしれません。
- 親しくしていた方が亡くなったとき(「自分もそうなるかも」と自覚しやすいタイミング)
- 相続に関するニュースや話題が出たとき
- 家族が集まる年末年始やお盆などの機会
以前と比べると、こうした話題を受け入れてくれる親御さんは増えてきていると感じています。親御さん自身も「きっかけがない」だけで、心の中では話したいと思っていることもあるようです。
3. 専門家を活用して「家族の健康診断」を行う
「親にどう切り出せばいいか分からない」という場合は、専門家を介することで話がスムーズに進むことがあります。
たとえば、ご家族からご相談をいただいた際には、「定期預金を持っている場合にどんなトラブルが予想されるか」「株式を持っている場合はどうなるか」といった問題点と解決策を書面にまとめてお渡しすることができます。それを親御さんに見せていただき、家族会議のきっかけにしていただくイメージです。
また、チェックリスト形式で財産の棚卸しをしていただくことも有効です。「人間ドック」のように、今の財産状況を整理してトラブルを予防する——この「家族の健康診断」を、ぜひ一度お試しください。
- 定期預金の解約手続きは相続人全員の同意が必要で、一人でも欠けると止まる
- 認知症になる前に解約・整理しておくことが最善策
- デジタル遺産(ネット証券・マイレージ等)の情報共有も必須
- 専門家を介した「家族の健康診断」で事前にトラブルを防げる
まとめ
- 定期預金は相続が始まると「すぐには使えない資産」になる可能性がある。銀行の手続きは煩雑で、相続人全員の同意が必要なため、一人でも欠けると進まない。
- 葬儀代や相続税の支払いに定期預金を充てようとすると、手続きが間に合わず誰かが立て替えることになり、家族間のトラブルに発展しやすい。
- ネット証券やマイレージなどのデジタル遺産も見落とされやすい。存在を知らない・ログインできないまま有効期限切れになるケースも多い。
- 元気なうちに定期預金の解約・整理を行い、財産情報を家族と共有しておくことが最大の対策。
- 専門家を活用した「家族の健康診断」で、トラブルを事前に予防することができる。
ご不安な点やご不明な点がございましたら、どうぞお気軽にレスター司法書士法人にご相談ください。
本記事の内容は、YouTube動画『【至急】定期預金が相続を地獄にする理由!!』でも解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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