【2026年成立】成年後見制度の改正で何が変わる?いつから施行かと今の判断を司法書士が解説

成年後見制度が変わる

皆様、こんにちは。レスター司法書士法人の日高憲一です。

「成年後見制度は使いにくいと聞くけれど、法律が変わるらしい」「親の預金が下ろせなくて困っているが、改正を待ったほうがいいのだろうか」——最近、こうしたご相談が増えています。

ニュースやインターネット上の記事では「改正が議論されている」「見直しの方向で検討中」といった表現もまだ見かけますが、これは正確ではありません。成年後見制度を見直す改正法は、すでに2026年6月17日に国会で成立し、6月24日に公布されています。いま制度は「議論中」ではなく「施行を待っている」段階にあります。

一方で、施行日はまだ決まっていません。ここが判断を難しくしているところで、「新しい制度を待つ」という選択が、そのまま「数年間、何もできない」ことを意味してしまう場合もあります。

本日は、成年後見制度の改正で何がどう変わるのか、いつから施行されるのか、そして今まさに申立てを迷っている方がどう判断すればよいのかについて、法務省や裁判所が公表している一次情報をもとに解説いたします。

公式LINEで「相続チェックリスト」プレゼント!

レスター司法書士法人の公式LINEでは、相続に役立つチェックリストを無料プレゼントしています!

ほかにも、LINE限定の無料Zoom相談もご用意しておりますので、この機会にぜひご登録ください。

目次

成年後見制度の改正法は2026年6月17日に成立しています

まず、事実関係を正確に整理します。

成年後見制度と遺言制度を見直す「民法等の一部を改正する法律」(令和8年法律第45号)は、2026年(令和8年)6月17日に参議院本会議で可決・成立し、同年6月24日に公布されました。あわせて、施行に伴う整備を定める法律(令和8年法律第46号)も成立しています。

詳しい内容は、法務省の「民法等の一部を改正する法律」(成年後見及び遺言の制度の見直し)についてのページで公表されています。

「議論中」ではなく「施行待ち」の段階です

この改正は、2024年(令和6年)2月に法務大臣から法制審議会へ諮問がされ、約2年間の調査審議を経て、2026年2月に要綱が取りまとめられたものです。その後、同年4月に法律案が閣議決定され、6月に成立しました。

つまり、改正の内容そのものは、すでに条文として確定しています。残っているのは「いつから動き出すか」だけです。

成年後見制度は2000年(平成12年)の制度開始以来、大きな枠組みが変わっていませんでした。今回の改正は、その枠組み自体を組み替えるものです。

成年後見制度の改正はいつから?施行日はまだ決まっていません

結論から申し上げますと、成年後見制度の見直しに関する部分の施行日は、2026年8月現在、まだ決まっていません。

公布から2年6か月を超えない範囲で政令で定める日

法務省が公表している改正法の概要によれば、成年後見制度に関する改正の施行日は「公布の日から起算して2年6月を超えない範囲内において政令で定める日」とされています。

公布日が2026年6月24日ですので、逆算すると次のようになります。

施行時期の考え方
  • 成立:2026年(令和8年)6月17日
  • 公布:2026年(令和8年)6月24日
  • 施行:公布から2年6か月以内に政令で定める日(=遅くとも2028年12月下旬まで

「遅くとも2028年12月まで」ということは、逆に言えば、それより早く施行される可能性もあれば、期限ぎりぎりになる可能性もあるということです。具体的な日付は今後の政令で定められますので、現時点で「◯年◯月から」と断定している情報があれば、それは推測であるとお考えください。

なお、同じ改正法に含まれる遺言制度の見直し(パソコンで作成した遺言を法務局が保管する「保管証書遺言」の創設など)については、施行時期の定めが別に置かれています。押印の任意化などは公布から1年以内、システム改修を要する部分は3年以内とされており、成年後見の部分とはスケジュールが異なります。

施行日が決まっていないことの実務上の意味

家庭裁判所の運用の細部や申立書の書式、後見人の実務がどう変わるかは、施行日が近づくにつれて順次示されていくものと考えられます。現時点では条文と法務省の資料が判断材料のすべてです。

したがって、「新制度になったら実際にどう運用されるか」については、専門家であっても断定はできません。当事務所でも、確定している条文の内容と、まだ分からない運用面とを区別してご説明するようにしています。

成年後見制度の改正で何が変わるのか(法定後見の5つのポイント)

ここからは、法務省が公表している改正法の概要にもとづいて、法定後見制度の主な変更点を整理します。

1. 後見・保佐が廃止され「補助」に一元化される

今回の改正で最も大きいのがこの点です。

現行制度では、本人の判断能力(法律上は「事理弁識能力」といいます)の程度によって、利用できる制度が後見・保佐・補助の3つに画一的に振り分けられます。とくに「事理弁識能力を欠く常況」と認定されると後見になり、後見人が包括的な代理権・取消権を持つ形しか選べません。

たとえば「遺産分割をするために後見人が必要」というだけの動機であっても、いったん後見が開始すれば、日常の財産全般に後見人の権限が及ぶことになります。本人の自己決定が、必要以上に制限されてしまうわけです。

改正後は後見と保佐の制度が廃止され、本人に必要な事項について代理権・取消権を付与する「補助」の制度に一元化されます(新民法7条、9条、11条)。必要な範囲だけを、いわばオーダーメイドで設定する形になります。

ただし、判断能力を欠く常況にある方について保護が薄くなってしまっては本末転倒ですので、例外として法定の重要な財産行為をいずれも取り消せる「特定補助」の仕組みを選択できるとされています(新民法10条)。この特定補助を利用する際には、医師2人以上の意見を聴取することが求められます。

2. 必要がなくなれば利用を終了できる

現行の後見・保佐は、本人の判断能力が回復しない限り、原則としてやめることができません。実務では「一度始めたら亡くなるまで続く」と説明されることも多く、これが利用をためらわせる大きな理由になってきました。

改正後は、判断能力が回復していない場合であっても、制度利用の必要がなくなったと家庭裁判所が認めるときは、申立て又は職権によって利用を終了できるとされています(新民法12条)。補助人には毎年1回の本人の状況報告が義務づけられ、その報告の際に必要がなくなったと認められれば、職権での終了もあり得るという建て付けです。

なお、この点は「有期後見になる」「期間を区切って使えるようになる」と紹介されることがありますが、法務省が公表している概要を読む限り、あらかじめ利用期間を年数で区切る仕組みが設けられたわけではありません。「必要がなくなったときに終了できる」という組み立てです。細かい違いに見えますが、ご相談の場面では意味が変わってきますので、正確に押さえておきたいところです。

3. 後見人を交代しやすくなる

現行法では、成年後見人等を解任できるのは、横領などの不正な行為や著しい不行跡といった、後見人側の落ち度に着目した事由に限られています。そのため「面談にも来てくれない」「本人の意向をまったく聞いてくれない」といった不満があっても、交代は容易ではありませんでした。

改正により、解任事由に「本人の利益のために特に必要があるとき」が追加されます(新民法876条の5)。不正がない場合でも、本人が適切な保護を受けられていないときには交代の余地が生まれることになります。

4. 本人の意見・意向の尊重が明確化される

補助人の選任にあたって家庭裁判所が考慮すべき要素の冒頭に「本人の意見」が置かれます(新民法876条の2)。現行法では考慮要素の最後に規定されており、位置を前に出すことで重要性を明確化する趣旨です。

また、補助人が職務を行う際には、本人に情報を提供し、本人から話を聴くなど適切な方法で本人の意向を把握しなければならないことも明文化されます(新民法876条の11)。

5. 報酬の決め方に「事務の内容」が明記される

成年後見人等の報酬は家庭裁判所が決定しますが、現行法では本人および後見人の資力以外の考慮要素が条文に明記されていませんでした。「いくらかかるか読めない」という不満につながっていた部分です。

改正後は、家庭裁判所が報酬を決定する際、補助人が行った事務の内容等が考慮要素であることが規定上明確化されます(新民法876条の19)。あわせて、報酬請求が認容された事案の実績が公表されることも予定されており、予測可能性を高める狙いがあります。

ただし、これは「報酬が安くなる」という話ではありません。あくまで決め方の透明性を高めるものである点にご注意ください。現行制度での費用の内訳については、成年後見の費用はいくら?申立時の実費と毎月の報酬の記事で詳しく解説しています。

このほか、補助人が本人の死亡後に火葬・埋葬の契約を締結できるようにするなど、死後事務に関する権限の拡充(新民法876条の26)も盛り込まれています。以上の内容は、法務省が公表している民法等の一部を改正する法律の概要(PDF)で確認できます。

任意後見制度も柔軟に使えるようになります

元気なうちにご自分で後見人を選んで契約しておく「任意後見」についても、見直しが行われます。主な内容は次のとおりです。

  • 家庭裁判所が明らかに監督の必要がないと認めるときは、任意後見監督人を選任せず、家庭裁判所が直接監督することが可能になる(任意後見契約法7条)
  • 補助の制度の利用を開始しても、任意後見契約が終了せず存続する(現行法では法定後見の開始により任意後見契約が終了します)
  • 任意後見受任者が先に亡くなった場合などに備え、契約の効力を発生させる順序を定める合意ができるようになる
  • 本人が公正証書で指定した人も、任意後見契約を発効させる裁判手続の申立てができるようになる(現行法では親族または任意後見受任者に限られています)

とくに2つ目は実務的に大きな変更です。これまでは「せっかく任意後見契約を結んでいたのに、法定後見が始まって契約が終わってしまった」という事態があり得ましたが、改正後は本人が生前に決めた枠組みを活かしやすくなります。

すでに後見・保佐を利用している方はどうなる?

「親がすでに後見を利用しているが、施行日を迎えたら勝手に何か変わってしまうのか」というご心配をよくいただきます。

法務省の資料によれば、経過措置の考え方は次のとおりです。

  1. そのまま利用を続けたい場合:基本的に現行法の内容のまま利用を継続できます。ただし、解任事由と意向尊重義務については改正後の民法が適用されます
  2. 新制度に移行したい場合:改正後の補助の制度について申立てを行い、現在利用中の後見・保佐開始の審判は取り消されます
  3. 利用を終了したい場合:後見・保佐開始の審判の取消しの申立てが可能です

つまり、施行日を境に自動的に全員が新制度へ移し替えられるわけではありません。継続・移行・終了のいずれを選ぶかは、本人や親族等の申立てによることになります。なお、2025年(令和7年)12月末時点の利用者数は、後見が18万828人、保佐が5万8162人、補助が1万8078人となっています。

どの選択がよいかは、ご本人の状態、財産の内容、後見人との関係など個別の事情によって異なります。施行日が近づいた段階で、あらためて専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。

改正を待つべきか、今申立てるべきか

ここが、今まさに悩まれている方にとって最も知りたい点だと思います。

資産凍結は「改正後」ではなく「今」起こります

まず押さえていただきたいのは、制度が変わるのを待っている間も、ご本人の状況は待ってくれないということです。

最高裁判所事務総局家庭局の成年後見関係事件の概況(令和7年1月〜12月)によれば、申立ての動機として最も多いのは預貯金等の管理・解約で全体の約93.4%、次いで身上保護が約74.2%、介護保険契約が約45.7%、不動産の処分が約36.3%、相続手続が約25.6%となっています(複数回答)。

これは、多くの方が「困りごとが起きてから」申立てをしている実態を示しています。預金が下ろせない、介護施設の契約ができない、実家を売却できない——こうした事態は、施行日を待っている間にも起こります。

そして、後見が必要な状態になってしまってからでは、遺言・家族信託・任意後見といった「元気なうちにしかできない対策」は、もう選べません。

申立てから審判までの期間も考慮を

成年後見関係事件の審理期間は、同じ資料によれば2か月以内に終局したものが全体の約71.1%、4か月以内が約93.8%です。申立ての準備(診断書の取得、財産目録の作成など)を含めれば、実際に後見人が動き出すまでには相応の時間がかかります。

「急いでいるから改正を待つ」という選択は、基本的に成り立ちにくいとお考えください。

申立てにかかる法定費用

裁判所が公表している後見開始の手続案内によれば、申立てに必要な費用は次のとおりです。

  • 申立手数料:収入印紙800円分
  • 後見登記手数料:収入印紙2,600円分
  • 連絡用の郵便切手(金額は申立先の家庭裁判所により異なります)
  • 鑑定が必要となった場合はその費用(申立人負担となることがあります)

なお鑑定については、令和7年に終局した事件のうち実施されたものは全体の約3.4%にとどまり、実施された場合でも約85.8%の事件で費用は10万円以下でした。「必ず高額な鑑定費用がかかる」というイメージをお持ちの方が多いのですが、実際にはそこまで一般的な手続ではありません。

それでも「待つ」判断があり得るケース

とはいえ、一律に「今すぐ申立てを」と申し上げるつもりはありません。次のような場合には、慎重に検討する余地があります。

  • 差し迫った手続がない:預金の引出しや不動産の処分など、今すぐ必要な事務が具体的に存在しない
  • ご本人の判断能力がまだ十分にある:この場合は法定後見ではなく、任意後見契約や家族信託、遺言といった選択肢を先に検討すべきです
  • 一時的な事務のためだけに後見が必要:改正後は必要な範囲での利用がしやすくなるため、緊急性がなければ様子を見るという判断もあり得ます

もっとも、施行日が確定していない以上、「待つ」ことにどれだけの時間がかかるかは読めません。この判断は事案によって結論が変わります。迷われた場合は、実際の財産状況や差し迫った事務の有無をもとに個別に検討することをお勧めいたします。

制度そのものの全体像(3類型・できること/できないこと・流れ)は「成年後見制度とは?わかりやすく全体像を解説した記事」で整理しています。

家族信託・任意後見との使い分け

「改正で成年後見が使いやすくなるなら、家族信託は不要になるのでは」というご質問もいただきます。結論としては、それぞれ役割が異なるため、代わりにはなりません。

3つの制度の性格の違い
  • 法定後見(改正後は補助に一元化):判断能力が低下した「後」に家庭裁判所が支援者を選ぶ制度。本人を保護することが目的で、家庭裁判所の監督下に置かれます
  • 任意後見:判断能力があるうちに、自分で支援者と契約しておく制度。公正証書での契約が必要です
  • 家族信託:財産の管理・承継の設計を、契約によってあらかじめ組み立てておく手法。本人の保護というより、資産の管理と次世代への承継に軸足があります

任意後見と家族信託は、いずれもご本人に契約を結べるだけの判断能力があることが前提です。認知症が進んでからでは選べません。この見極めについては、家族信託は認知症になってからでは遅い?契約できる判断基準と任意後見との違いの記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

また、改正により「補助の利用を開始しても任意後見契約が存続する」ことになりますので、任意後見と法定後見を組み合わせる設計が現行制度よりも取りやすくなると考えられます。ここは施行後の実務の積み重ねを見ていく必要がある部分です。

なお、家族信託にともなう贈与税・相続税の取扱いについては税理士または税務署にご確認ください。また、ご親族間ですでに争いが生じている場合は弁護士の領域となります。当事務所では、必要に応じて各分野の専門家と連携して対応しております。

沖縄で成年後見の申立てを考えている方へ

ここからは、沖縄で申立てをお考えの方に向けた実務的な情報をお伝えします。

申立先は那覇家庭裁判所(本庁または各支部)

成年後見の申立ては、本人の住所地を管轄する家庭裁判所に対して行います。沖縄県内の場合、那覇市樋川にある那覇家庭裁判所の本庁のほか、沖縄支部(沖縄市)、名護支部(名護市)、平良支部(宮古島市)、石垣支部(石垣市)が置かれています。

那覇家庭裁判所のウェブサイトでは、「成年後見申立ての手引」や申立書・財産目録・収支予定表などの書式、記載例が公開されています。ご自身で申立てを検討される方は、まずこの手引を最後まで通読されることをお勧めいたします。

宮古・八重山をはじめとする離島にお住まいの場合、必要書類を集めるだけでも本土とは勝手が違います。戸籍や住民票の取得、医師の診断書の手配、家庭裁判所とのやり取りに、想定以上の日数がかかることがあります。

沖縄は市区町村長申立ての割合が全国平均を上回っています

最高裁判所の統計によれば、令和7年に那覇家庭裁判所管内で終局した成年後見関係事件は483件で、そのうち市区町村長による申立てが128件(約26.5%)を占めています。全国平均は約23.7%ですので、沖縄はやや高い水準にあります。

市区町村長申立ては、本来申し立てるべきご親族がいない、あるいは連絡が取れないといった場合に行われるものです。この数字は、ご家族が動けないまま行政が動かざるを得なくなったケースが一定数あることを示しています。

沖縄では、お子様が本土や海外にお住まいで、ご両親だけが県内に残っているというご家庭が少なくありません。県外にお住まいのお子様が申立人になること自体は可能ですが、書類の準備や家庭裁判所とのやり取りには手間がかかります。「誰かがやるだろう」と全員が思っている間に、ご本人の判断能力が進行してしまうというのは、実際によくある経過です。

後見人の8割以上は親族以外が選ばれています

「家族が後見人になれるのか」も、よくいただくご質問です。

令和7年に認容で終局した事件について、成年後見人等と本人との関係を見ると、親族が選任されたものは全体の約16.4%、親族以外が選任されたものが約83.6%となっています。候補者として親族を挙げても、必ずその方が選ばれるとは限りません。

改正では選任時の考慮要素の冒頭に「本人の意見」が置かれることになりますが、これが選任実務にどの程度の影響を与えるかは、施行後の運用を見なければ分かりません。誰が選ばれやすいのかの考え方は、成年後見人になれる人とは?家族が選ばれるための条件とポイントの記事で整理しています。

実際に申立てを考え始めた方は「成年後見は誰に相談すべき?司法書士・弁護士・行政書士の違いを解説した記事」もあわせてご覧ください。

よくある質問

成年後見制度の改正はいつから始まりますか?

2026年8月現在、施行日は決まっていません。改正法は2026年6月24日に公布されており、成年後見制度に関する部分は「公布の日から起算して2年6月を超えない範囲内において政令で定める日」に施行されます。したがって、遅くとも2028年12月下旬までには施行されることになりますが、具体的な日付は今後公布される政令で定められます。

施行日が決まりましたら法務省から公表されますので、正確な情報は法務省のウェブサイトでご確認ください。

改正されるまで申立てを待ったほうがよいですか?

個別事情によって異なりますが、差し迫った事務がある場合は待つべきではないと考えます。預金の引出しができない、介護施設の入所契約ができない、不動産を売却しなければ介護費用が捻出できないといった状況は、施行日を待っている間も解消されません。

一方で、今すぐ必要な手続がなく、ご本人の判断能力にまだ余裕がある場合には、法定後見以外の選択肢(任意後見契約や家族信託など)を先に検討したほうがよいこともあります。まずは現状を整理したうえでご判断ください。

すでに後見を利用している親は、施行後どうなりますか?

経過措置により、そのまま利用を継続することが可能です。基本的には現行法の内容で継続でき、解任事由と本人の意向尊重義務についてのみ改正後の民法が適用されます。

新しい補助の制度へ移行したい場合は、改正後の補助の制度についてあらためて申立てを行い、現在の後見・保佐開始の審判を取り消すという流れになります。また、利用そのものを終了したい場合は、後見・保佐開始の審判の取消しを申し立てることができます。いずれも自動的に切り替わるものではありません。

改正されれば家族信託は必要なくなりますか?

必要なくなるとは考えにくいというのが率直なところです。

法定後見は、判断能力が低下した後にご本人を保護するための制度であり、家庭裁判所の監督下で運用されます。積極的な資産の組み替えや、次の世代・その次の世代への承継の設計といった場面には、そもそも向いていません。

これに対して家族信託は、ご本人が元気なうちに、財産の管理と承継の道筋を契約で設計しておくものです。目的が異なりますので、改正後も両者の使い分けは残ると考えられます。どちらが適しているかは財産の内容とご家族の状況によりますので、個別にご検討ください。

改正後は後見人の報酬が安くなりますか?

安くなると決まったわけではありません。改正は、報酬を決定する際に補助人が行った事務の内容等を考慮要素とすることを条文上明確化するものであり、金額の水準を引き下げるものではないと理解しています。

あわせて、報酬請求が認容された事案の実績が公表される予定とされていますので、これまでより見通しは立てやすくなることが期待されます。実際の運用がどうなるかは、施行後の状況を見ていく必要があります。

まとめ

成年後見制度の改正について解説してまいりました。要点を整理いたします。

  • 改正法(令和8年法律第45号)は2026年6月17日に成立し、6月24日に公布済み。「議論中」ではなく「施行待ち」の段階です
  • 施行日はまだ決まっていません。公布から2年6か月を超えない範囲で政令により定められるため、遅くとも2028年12月下旬までには施行されます
  • 後見・保佐は廃止され「補助」に一元化され、本人に必要な範囲だけを設定する形になります。判断能力を欠く常況にある方には「特定補助」の仕組みが用意されます
  • 必要がなくなれば利用を終了でき、後見人の交代もしやすくなります。ただし、あらかじめ期間を年数で区切る仕組みではありません
  • すでに利用中の方が自動的に新制度へ移されることはありません。継続・移行・終了のいずれも申立てによります
  • 資産凍結は施行日を待ってくれません。差し迫った事務がある場合、改正を待つ判断は現実的でないことが多いといえます

制度が大きく変わる時期は、「もう少し様子を見よう」と判断を先送りしやすいタイミングでもあります。しかし成年後見が問題になる場面では、先送りしている間にご本人の判断能力が変化し、選べる手段が減っていくことが少なくありません。

「今動くべきか、待つべきか」は、ご本人の状態と差し迫った事務の有無によって答えが変わります。まずはその整理から始めることが大切です。

レスター司法書士法人では、窓口を一つにしてワンストップで対応しております。成年後見の申立てはもちろん、任意後見契約や家族信託、遺言といった生前の対策まで含めて、どの方法がご家族に合っているかを一緒に整理いたします。初回のご相談は無料で承っておりますので、ご不安な点やご不明な点がございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

Contact

まずは、話してみてください。

初回相談は無料です。どんな小さなことでもお気軽にお声がけください。

Quick Call

098-987-1628

Office Hours

平日 8:30 – 17:30

監修者 司法書士 日高憲一

この記事の監修者

日高 憲一(レスター司法書士法人 代表社員司法書士)

沖縄県名護市出身。那覇市壺川で開業以来、相続登記・家族信託・渉外登記・事業承継など沖縄の登記・法務案件を幅広く手がける。実務経験20年・相続案件実績2,000件。

代表挨拶・事務所案内を見る

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次