成年後見の費用はいくら?申立時の実費と毎月の報酬を司法書士が解説

成年後見の費用

皆様、こんにちは。レスター司法書士法人の日高憲一です。

「親が認知症になり、銀行の預金が下ろせなくなった」「施設の入所契約や不動産の売却のために成年後見制度を勧められたが、費用がいくらかかるのか分からない」――そんなお悩みで検索されて、この記事にたどり着いた方が多いのではないでしょうか。

成年後見の費用は、調べれば調べるほど混乱しやすいテーマです。「数千円の印紙代で申し立てできる」という情報もあれば、「トータルで数百万円かかることもある」という情報もあります。実は、どちらも間違いではありません。「申立時に一度だけかかる費用」と「後見が始まった後にずっとかかる報酬」を分けて考えていないことが、混乱の原因なのです。

本日は、成年後見の費用をこの2つに分解して整理したうえで、「一度始めると原則やめられない」という制度の重要な注意点、費用が払えない場合の助成制度、そして2026年現在進んでいる制度改正の議論まで、司法書士の立場から正直に解説いたします。

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目次

成年後見の費用は「申立時の費用」と「開始後の報酬」の2種類

結論から申し上げますと、成年後見制度(法定後見)の費用は次の2種類に分けて考える必要があります。

  1. 申立時に一度だけかかる費用:収入印紙・郵便切手・診断書代など。実費だけなら1〜2万円程度、鑑定が必要な場合は追加で5〜10万円程度
  2. 後見開始後にずっとかかる費用:成年後見人への報酬。専門職が後見人になった場合、月額2〜6万円程度が目安で、原則としてご本人が亡くなるまで続く

費用の総額を大きく左右するのは、①の申立費用ではなく②の「ずっとかかる報酬」です。仮に月3万円の報酬が10年間続けば、それだけで360万円になります。「申立ての印紙代は3,400円」という情報だけを見て制度を利用し始めると、後から想定外の負担に驚くことになりかねません。

なお、「後見の申立てをするくらいなら、家族がキャッシュカードで親の預金を引き出して管理すればよいのでは」と考える方もいらっしゃいますが、この方法は相続時のトラブルの大きな火種になります。詳しくは「相続前の親の預金は引き出しNG!トラブル行為3選と司法書士が教える対策」の記事で解説しておりますので、あわせてご覧ください。

申立時にかかる費用|一度だけかかる実費の内訳

まず、家庭裁判所に後見開始の審判を申し立てる際にかかる費用です。これらは一度だけの支出で、金額も比較的小さなものです。

家庭裁判所に納める費用

  • 申立手数料:収入印紙800円
  • 後見登記手数料:収入印紙2,600円
  • 郵便切手(予納郵券):3,000〜5,000円程度(金額・内訳は家庭裁判所ごとに異なります)

申立手数料800円と登記手数料2,600円は全国共通です。なお、後述する「保佐」「補助」の申立てで代理権や同意権の付与もあわせて求める場合は、その申立てごとに収入印紙800円が追加になります。

書類の準備にかかる費用

  • 医師の診断書:数千円〜1万円程度(医療機関により異なります)
  • 戸籍謄本・住民票:1通数百円
  • 登記されていないことの証明書:300円(法務局で取得)
  • 本人の財産に関する資料:残高証明書や不動産の登記事項証明書など、1通数百円〜1,000円程度

鑑定費用(必要な場合のみ・5〜10万円程度)

ご本人の判断能力の程度を医学的に確認するため、家庭裁判所が医師による鑑定を行うことがあります。鑑定費用は5〜10万円程度が目安です。ただし、診断書の内容などから判断能力の状況が明らかな場合には鑑定が省略されるケースも多く、すべての申立てで必要になるわけではありません。

申立手続の流れや必要書類の詳細は、裁判所の後見ポータルサイトや、厚生労働省の「成年後見はやわかり」法定後見制度の解説ページで公式情報が公開されています。

司法書士に申立てを依頼する場合の費用

申立書類の作成を司法書士に依頼する場合は、上記の実費とは別に報酬がかかります。報酬額は事務所により異なりますが、一般的には10〜20万円程度が相場観といわれています。

成年後見の申立ては、財産目録や収支予定表の作成、戸籍や証明書の収集など、準備する書類が多岐にわたります。ご自身で行うことも可能ですが、平日に役所や法務局、家庭裁判所へ何度も足を運ぶ必要があるため、お仕事をされているご家族には負担の大きい手続きです。当事務所では初回のご相談は無料ですので、ご自身で行うか依頼するか迷っている段階でも、お気軽にご相談ください。

開始後にずっとかかる費用|成年後見人への報酬

ここからが、成年後見の費用で最も重要な部分です。

報酬は家庭裁判所が決める(基本報酬は月2〜6万円が目安)

成年後見人への報酬は、契約で自由に決めるものではなく、家庭裁判所が審判で決定します。裁判所が公表している目安では、司法書士や弁護士などの専門職が後見人になった場合の基本報酬は月額2万円程度とされ、管理する財産の額が大きくなるにつれて増えていきます。

  • 管理財産額1,000万円以下:月額2万円程度
  • 管理財産額1,000万円超〜5,000万円以下:月額3〜4万円程度
  • 管理財産額5,000万円超:月額5〜6万円程度

あくまで目安であり、最終的な金額は個別の事情をふまえて家庭裁判所が決定します。報酬はご本人(成年被後見人)の財産の中から支払われます。

付加報酬と成年後見監督人の報酬

不動産の売却や遺産分割協議への参加、訴訟対応など、通常の後見事務を超える特別な業務を行った場合には、基本報酬の50%の範囲内で付加報酬が加算されることがあります。

また、後見人を監督する成年後見監督人が選任された場合は、監督人への報酬(月額1〜3万円程度が目安)も別途発生します。

専門職後見人と親族後見人の違い

ご家族・ご親族が成年後見人に選任された場合、報酬付与の申立てをしなければ無報酬で務めることも可能です。この場合、毎月の報酬負担は発生しません。

ただし、注意していただきたいのは、誰が後見人になるかを決めるのは家庭裁判所だという点です。申立時にご家族を候補者として挙げても、財産の額が大きい場合や親族間に意見の対立がある場合などには、司法書士・弁護士などの専門職が後見人に選任されたり、親族後見人に加えて監督人が付けられたりすることがあります。「家族がなるから費用はかからないはず」という前提は、そのとおりにならない可能性があることを知っておいてください。

【最重要】成年後見は一度始めると原則やめられません

成年後見の費用を考えるうえで、金額そのものより大切なことをお伝えします。それは、成年後見制度は一度始めると、ご本人の判断能力が回復するか、お亡くなりになるまで原則として続くということです。

「不動産を売却する手続きのためだけに後見人を付けたい」「遺産分割協議の間だけ利用したい」というご相談をよくいただきますが、現在の制度では、目的の手続きが終わったからといって後見を終了させることはできません。報酬の負担が想定より重いという理由で、後見人を解任したり交代させたりすることも原則できないのです。

専門職後見人の報酬が月3万円の場合、5年で180万円、10年で360万円。ご本人が長生きされるほど総額は大きくなります。だからこそ、申立ての前に「本当に今、成年後見が必要か」「他の選択肢はないか」を検討することが重要です。

家族信託・任意後見という選択肢との比較

ご本人にまだ判断能力があるうちであれば、次のような代替手段を選べる可能性があります。

  • 家族信託:信頼できるご家族に財産の管理・処分を託す契約。初期費用(専門家報酬・公証人手数料など)はかかりますが、家族が受託者であれば毎月の報酬負担をなくす設計も可能です
  • 任意後見:元気なうちに、将来の後見人を自分で選んで公正証書で契約しておく制度。発効後は任意後見監督人への報酬が発生します

一方で、すでに判断能力が失われてしまった後は、家族信託や任意後見の契約を結ぶことはできず、法定後見(成年後見)しか選択肢がないのが実情です。どの制度が適しているかはご家族の状況・財産の内容によって異なりますので、個別の事情をふまえた検討をお勧めいたします。

遺言・成年後見・家族信託のどれが向いているかは「家族信託は必要ない?不要なケース6つ」の使い分け比較表で整理しています。

成年後見・保佐・補助の3類型で費用と支援の範囲が変わる

法定後見制度には、ご本人の判断能力の程度に応じて3つの類型があります。

  1. 後見:判断能力が欠けているのが通常の状態の方。後見人が広範な代理権を持ちます
  2. 保佐:判断能力が著しく不十分な方。借金や不動産取引など重要な行為に保佐人の同意が必要になります
  3. 補助:判断能力が不十分な方。3類型の中で最も軽く、必要な範囲だけ同意権・代理権を設定できます

申立時の基本的な費用は3類型ともほぼ同じですが、保佐・補助では代理権や同意権の付与を求める申立てごとに収入印紙800円が追加になります。また、報酬の目安の考え方は保佐人・補助人でも後見人と同様です。ご本人の状態に対して重すぎる類型を選ぶ必要はなく、「必要な支援を必要な分だけ」設計できるのが保佐・補助の特長です。各類型の詳しい違いは、法務省の成年後見制度・成年後見登記制度のQ&Aでも確認できます。

当事務所の解決事例|債務整理とあわせて「補助」を活用したケース

借金のお悩みで当事務所にご相談いただいた方の事例です。任意整理の交渉を進め、ご親族の援助も得て和解を成立させることができましたが、ご本人に軽度の発達障害があり、そのままではまた借入れを重ねてしまうおそれがありました。

そこで、成年後見制度の中で最も軽い類型である「補助」を活用し、大きな借入れなどの重要な行為に補助人の同意を要する仕組みを整えることで、再発防止につなげました。成年後見制度は「認知症の高齢者のための制度」と思われがちですが、このように、ご本人の状況に合わせて必要な支援だけを組み合わせる使い方もできます。どの類型が適しているかは個別の事情により異なりますので、まずはご相談ください。

費用が払えないときは|市区町村の助成制度(成年後見制度利用支援事業)

「制度は必要だが、費用を払える財産がない」という場合のために、公的な支援制度があります。

多くの市区町村では「成年後見制度利用支援事業」として、申立費用や成年後見人等への報酬の全部または一部を助成しています。助成の対象者や要件は市区町村ごとに異なりますが、生活保護を受給している方や、それに準ずる資力の方が対象となるのが一般的です。沖縄県内の市町村でも実施されていますので、お住まいの市町村の福祉窓口や地域包括支援センターに確認してみてください。

また、収入・資産が一定基準以下の方は、法テラス(日本司法支援センター)の民事法律扶助を利用して、申立書類作成の専門家費用の立替えを受けられる場合があります。費用を理由に必要な制度の利用をあきらめる前に、こうした支援制度の利用を検討しましょう。

2026年・成年後見制度は見直しの議論が進んでいます

ここまで「一度始めるとやめられない」と説明してまいりましたが、実はこの点こそが、いま国レベルで見直しが議論されている論点です。

現在、法務省の法制審議会において成年後見制度の見直しが審議されており、「必要な期間だけ利用できる仕組み(期間を定めた利用)」や「後見人の交代・終了の柔軟化」などが主要な論点となっています。改正が実現すれば、「不動産売却や遺産分割のときだけ後見人を付け、終わったら終了する」といった使い方ができるようになる可能性があり、費用負担のあり方も大きく変わるかもしれません。

ただし、本記事執筆時点(2026年)では改正法は成立しておらず、現時点で申立てをすれば現行制度が適用されます。「改正を待つべきか、今すぐ申し立てるべきか」はご本人の生活や財産の状況の緊急度によって判断が分かれるところですので、迷われた場合は専門家にご相談ください。最新の審議状況は法務省のホームページで公表されています。

沖縄で成年後見を利用する場合|那覇家庭裁判所への申立て

成年後見の申立先は、ご本人の住所地を管轄する家庭裁判所です。沖縄県の場合は那覇家庭裁判所(本庁のほか、沖縄・名護・平良・石垣の各支部)が窓口になります。予納する郵便切手の金額・内訳や書式の細部は裁判所ごとの運用がありますので、申立前に確認が必要です。

また、沖縄ならではの事情として、軍用地料の管理があります。軍用地をお持ちの方が判断能力を失うと、毎年の軍用地料の受領・管理も後見人の仕事となり、管理財産の規模によっては報酬額や後見人の人選(専門職の選任や監督人の付加)に影響することがあります。さらに、沖縄はお子様やご兄弟が県外・海外にお住まいのご家庭が多く、「本人は沖縄、申立てを考えている家族は本土」というケースも珍しくありません。当事務所では、こうした遠方のご家族からのご相談にも対応しております。

よくある質問

成年後見の費用は誰が払うのですか?

成年後見人への報酬は、ご本人(成年被後見人)の財産の中から支払われるのが原則です。ご家族の財布から毎月支払い続けるものではありません。

一方、申立時の費用(印紙代・切手代など)は申立人が負担するのが原則ですが、家庭裁判所の判断により、ご本人の財産からの負担とされる場合もあります。

成年後見人への報酬はいつまで払い続けるのですか?

原則として、ご本人の判断能力が回復して後見が取り消されるか、ご本人がお亡くなりになるまで続きます。認知症の場合、判断能力の回復は残念ながら多くは見込めないため、実際には「亡くなるまで続く」と考えて資金計画を立てておくのが現実的です。

だからこそ、申立ての前に総費用のイメージを持ち、代替手段と比較検討することが大切です。

家族が成年後見人になれば費用はかかりませんか?

ご家族が後見人に選任され、報酬付与の申立てをしなければ、毎月の報酬負担なしで運用することは可能です。

ただし、誰を後見人にするかは家庭裁判所が決めるため、ご家族が必ず選ばれるとは限りません。また、親族後見人に成年後見監督人が付けられた場合は、監督人への報酬(月額1〜3万円程度が目安)が発生します。「家族がなれば無料」とは言い切れない点にご注意ください。

司法書士に成年後見の申立てを依頼すると費用はいくらかかりますか?

申立書類の作成支援の報酬は事務所により異なりますが、一般的には10〜20万円程度が相場観といわれています。これに実費(印紙代・切手代・診断書代など)が加わります。

当事務所では、ご家族の状況をうかがったうえで、そもそも成年後見が必要か、家族信託などの代替手段はないかという入口の検討から一緒に行い、費用の見積りを事前にご提示しております。初回のご相談は無料です。

まとめ

成年後見の費用について解説してまいりました。要点を整理いたします。

  • 費用は「申立時に一度だけかかる費用」と「開始後にずっとかかる報酬」の2種類。申立時は収入印紙800円+登記手数料2,600円+切手・書類代で1〜2万円程度、鑑定が必要なら追加で5〜10万円程度
  • 専門職後見人の基本報酬は月額2〜6万円が目安で、家庭裁判所が決定し、ご本人の財産から支払われる
  • 一度始めると原則やめられず、報酬はご本人が亡くなるまで続く。申立前に家族信託・任意後見などの代替手段との比較検討が重要
  • 費用が払えない場合は市区町村の成年後見制度利用支援事業や法テラスの助成・立替制度を確認する
  • 2026年現在、期間を定めた利用などの制度改正が議論されているが、現時点の申立てには現行制度が適用される

成年後見は、ご家族の生活を守る大切な制度である一方、始めるかどうかの判断はやり直しがききません。費用の全体像と代替手段を知ったうえで、ご家族にとって最適な選択をしていただきたいと思います。なお、認知症対策は相続対策と地続きの問題です。どの専門家に何を相談すべきか迷われている方は、「相続の相談先はどこがいい?悩み別に司法書士が正直に解説」の記事も参考になさってください。

レスター司法書士法人では、窓口を一つにしてワンストップで対応しております。成年後見のご相談はもちろん、家族信託・遺言など生前対策全般のご相談も承っており、初回のご相談は無料です。ご不安な点やご不明な点がございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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監修者 司法書士 日高憲一

この記事の監修者

日高 憲一(レスター司法書士法人 代表社員司法書士)

沖縄県名護市出身。那覇市壺川で開業以来、相続登記・家族信託・渉外登記・事業承継など沖縄の登記・法務案件を幅広く手がける。実務経験20年・相続案件実績2,000件。

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